数千万もの賠償金になることも

 さらに、加害者となった場合、責任は刑事責任だけではない。悪意のない傘の事故だとしても、被害者は加害者に対し、民事上の責任を問い、損害賠償を請う可能性もある。

ケガの事案だと治療費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料などが発生します。後遺症が残る場合には、これに後遺症慰謝料や逸失利益が費目として加わってきます

 最悪、被害者が失明してしまった場合などは非常に高額な賠償金となるケースも。

「損害賠償の額は当然、被害者のケガの具合で変わってくるのですが、年齢、年収、職種によっても大きく異なります。例えば、これから未来ある子どもに、後遺症が残るぐらいのケガをさせてしまった場合や、大人でも被害者の年収、職種によっては数千万もの賠償金になることも、決してめずらしくはないのです

男性が横持ちしたときの傘の高さは、地面からおよそ80cm弱。ちょうど小さな子どもの目の高さにくる イラスト/とげとげ。
男性が横持ちしたときの傘の高さは、地面からおよそ80cm弱。ちょうど小さな子どもの目の高さにくる イラスト/とげとげ。
【写真】街で見かける“迷惑な傘の持ち方”をイラストで紹介。反面教師にして!

 では、もし加害者や被害者になってしまった場合どうしたらよいのか。

生きていれば、故意ではなくても加害者になりうるのです。ですから、気をつける意識は当然持つとして、そうなってしまったときの対応策を知っておくことが大切です

 現時点で対策できる方法としては保険があげられる。

「加害者になった場合には、“個人賠償責任保険”を使うことで、賠償金を保険で負担してもらうことができます。これは、クレジットカードの保険や、自動車保険の特約に付帯されていたり、単独で加入することもできます」

 また、すでに契約している保険や自動車保険の約款を確認してみることも重要だ。

「保険に“弁護士費用特約”が含まれているか確認してみましょう。最近では、日常生活上の事故についても“弁護士費用特約”が使える場合があり、被害者になってしまった際には、これを利用して弁護士に依頼することも検討してみるとよいでしょう」