嘔吐と下痢は虫垂炎の初期症状
病気のサイン:急な吐き気 16.『緑内障』
急な吐き気に襲われて胃や腸の病気かと思ったら、なんと目の病気の可能性が……。
「急な吐き気は、急性の緑内障発作の可能性があります。緑内障とは、眼圧が上昇して視神経を障害する病気で、失明原因の1位です。40歳以上の20人に1人が緑内障にかかっています。通常はじわりじわりと進行していきますが、急性緑内障発作の場合は眼圧が急激に上昇するために、目の痛みやかすみ、吐き気、頭痛を伴います」
通常は少しずつ進行し、やがて失明に至る病気だが、急性の発作はそのまま放置しておくと短期間で失明してしまうこともある。
「緑内障はほとんど自覚症状がありませんが、視力検査のように片方ずつ見ることで発見できることがあります。片方の目で見たとき、視野が欠けていたり、かすんでいたら眼科医を受診しましょう」
がんによる死亡原因の男性1位、女性2位の肺がん。同じ肺がんでも発生する場所によって症状が違う。
「肺の上のほう(肺門)に発生したがんは、腕のしびれや肩こりなど肺がんとは結びつきそうもない症状がみられることがあります」
肺がんは、肺門といって気管支の末端で肺に入る部分にできるがんと、そうでないところにできるがんに分けられる。
「肺門の近くにできるがんはせき、痰(たん)、血痰、呼吸困難、息切れなどの症状がみられます。肺門から離れたところにできたがんは自覚症状がないことが多いですが体重減少、倦怠(けんたい)感、食欲不振、発熱などの初期症状があらわれることもあるので、サインを見逃さないようにしましょう」
病気のサイン:嘔吐と下痢 18.『虫垂炎』
虫垂炎(ちゅうすいえん)は「盲腸」と呼ばれている腸の病気で、虫垂とは大腸の入り口にある5~10cmの突起物。お腹の右下が痛くなることで知られているが、実は嘔吐(おうと)や下痢も症状のひとつ。
「嘔吐と下痢は虫垂炎の初期の症状です。虫垂の炎症が起こると根元が詰まって圧迫されるため、みぞおちあたりに痛みが出ることもあります。症状が軽い場合は、抗菌薬の投与で炎症を鎮めますが、虫垂に穴があいてしまう可能性があるときは切除する手術が行われます。
昔から“盲腸”といえばこの切除手術を想像しますが、近年、虫垂は無用の長物ではなく重要な役割を果たしているのでは? という研究が進んでいます。腸内免疫に関わっているようですが、詳しいことは今後の研究でわかってくるでしょう。
早期発見に努め、場合によっては切除手術を受けない選択肢もあります」
病気のサイン:腰が痛い 19.大動脈解離
腰がグキッ!……ぎっくり腰やヘルニアかと思ったら、命にかかわる大動脈解離だったということも!
「大動脈解離はよく交通事故にたとえられます。元気な人が急に発症して亡くなってしまうことが多い病気です。大動脈解離というのは、心臓から全身に血液を送る最も太い動脈である大動脈の内側の膜がはがれて血液が血管から流れ出て一刻を争う大変な病気です」
人気アニメ『アンパンマン』のドキンちゃん役の声優、鶴ひろみさんは大動脈解離で亡くなっている。
「突然、腰から上の激しい痛みに襲われますが、高齢者など痛みに鈍感になっていると、ぎっくり腰だと思っていて手遅れになることも……。腰だけでなく、腰から上が痛くなるのが特徴なので覚えておきましょう」
女性のがんによる死亡の1位は大腸がん。40代からは特に気をつけたい病気だ。
「便に血液が混ざると赤黒くなります。大腸がんだけではなくポリープや痔(じ)の場合もありますので余計な心配は無用ですが、40歳過ぎて便の悩みがあったら内視鏡検査は受けたほうがいいでしょう」
同じ大腸がんでも、できた部位によって便色が違うという。
「大腸の奥のほうや胃や小腸のがんだと、黒に近い赤になります。一方、肛門に近いところにがんができた場合は赤っぽい便になります」
大腸がんにはほかにも症状がある。
「ひどい便秘と下痢を繰り返すことがあります。便秘のあげくにやっと出たら、鉛筆くらいの細さの便だったというのも大腸がんの症状の特徴です。早期に発見すれば予後がいいので、病気のサインを見逃さないようにしましょう」