『愛していると言ってくれ』('95年)

「ばっかり考えてる。
あの人のこと、ばっかり考えてる」

『愛していると言ってくれ』('95年)に出演した豊川悦司、常盤貴子
『愛していると言ってくれ』('95年)に出演した豊川悦司、常盤貴子
【写真】このころからお似合い!! 夫婦になる前の反町隆史と松嶋菜々子

 豊川悦司演じるろうあの画家と常盤貴子演じる女優の卵の切ない恋が女性たちの涙をしぼりとった名作。聞こえないゆえのふたりだけのコミュニケーション(手話、ファックスなど)が逆にロマンチックで、さすが“恋愛の神様”北川悦吏子と感服させられる。木の枝のリンゴをもぐという出会いのシーンも印象的だった。「君の声が聞きたいというトヨエツのセリフ……振動で伝わるという内容にすごく泣かされました」(神奈川県・50歳)

TBS系 最高視聴率28.1%
出演/豊川悦司、常盤貴子ほか
主題歌/DREAMS COME TRUE『LOVE LOVE LOVE』

ロングバケーション('96年)

「神様がくれた長い休暇だと思って、無理に走らない」

『東京ラブストーリー』と並ぶ恋愛ドラマの金字塔。山口智子&木村拓哉という人気絶頂のふたりを主役に据え、竹野内豊、稲森いずみ、りょう、松たか子、広末涼子とのちの主演クラスが脇を固める。脚本の北川悦吏子の何ということのない会話が醸し出す空気感が心地よく、どんな劇的な出来事よりもロマンチックな気分にさせた。「シーン、セリフ、映像、音楽……すべてがキラキラしていた。まねして窓からスーパーボールを投げました」(東京都・49歳)

フジテレビ系 最高視聴率36.7%
出演/木村拓哉、山口智子、竹野内豊、稲森いずみほか
主題歌/久保田利伸 with ナオミ・キャンベル『LA・LA・LA LOVESONG』

101回目のプロポーズ('91年)

「僕は死にましぇん!」

『101回目のプロポーズ』('91年)
『101回目のプロポーズ』('91年)

 当時のトレンディー女優の代表格、浅野温子の相手役に武田鉄矢という意表を突いたカップリングで大人の純愛を描き、同じ年に放送された『東京ラブストーリー』をしのぐ36.7%の高視聴率を叩き出した野島伸司脚本のロマンチックラブストーリー。「武田鉄矢がトラックの前に身を投げ出す衝撃シーンが印象的。何の取り柄もない不器量な男でも恋のためにこれほど必死になれる。イマドキの草食男子にこのバイタリティーを見習ってほしい」(北海道・55歳)

フジテレビ系 最高視聴率36・7%
出演/浅野温子、武田鉄矢、江口洋介、田中律子ほか
主題歌・CHAGE&ASKA『SAY YES』

東京ラブストーリー('91年)

「ねえ、セックスしよ」

『東京ラブストーリー』('91年)
『東京ラブストーリー』('91年)

 日本の恋愛ドラマ史上に残る傑作。最高視聴率は32.3%を記録し、その後の恋愛ドラマブームの火つけ役となった。鈴木保奈美演じるヒロイン・赤名リカの“切なさ”を徹底的に描くことで、世の女性視聴者を感情移入させ、“ドラマにハマる”という快感を教えた。「鈴木保奈美さんの“カ~ンチ”と呼ぶ声がかわいくて、つい自分を重ねて見てました」(神奈川県・53歳)。「ライバル役のさとみ(有森也実)のあざとさも心をざわつかせました(笑)」(カトリーヌさん)

フジテレビ系 最高視聴率32・3%
出演/鈴木保奈美、織田裕二、江口洋介、有森也実ほか
主題歌/小田和正『ラブ・ストーリーは突然に』

ずっとあなたが好きだった('92年)

「むぅーーー!」 

 見合い結婚した女性がダメ夫と姑の横暴に耐えかね、初恋の男へとなびいていく……古典的な物語が、ひとりのキャラクターの覚醒でお化けドラマに。それが佐野史郎演じるマザコン夫の冬彦だった。脚本の君塚良一はもとはバラエティーの構成作家。奇抜なアイデアで物語を活性化させるのは得意だった。「冬彦さんが木馬に乗って“ママ〜”というのがキモかった」(広島県・33歳)。「この作品だけはリアルタイムで全部見たくらいハマった」(青森県・45歳)

TBS系 最高視聴率34・1%
出演/賀来千香子、布施博、佐野史郎、野際陽子ほか
主題歌/サザンオールスターズ『涙のキッス』

高校教師('93年)

「愛と呼ぶには、僕たちはあまりにも幼すぎた」

 野島伸司がフジテレビからTBSへと場を移し、野島ワールドを開花させた作品。教師と女子高生という禁断の愛を縦軸にし、そこにレイプや近親相姦という過激シーンをちりばめる。極限状態でこそ純粋な愛が描けるという野島の作風は、その後『人間・失格』『未成年』『聖者の行進』などへと受け継がれていく。「今なら放送コードに引っかかるようなことも自由に表現していた。この自由さも'90年代ドラマの特徴です」(カトリーヌさん)

TBS系 最高視聴率33・0%
出演/真田広之、桜井幸子、赤井英和、京本政樹ほか
主題歌/森田童子『ぼくたちの失敗』

ひとつ屋根の下('93年)

「そこに愛はあるのかい?」

 野島伸司が純愛からホームドラマへと舵を切ったらさらなる高視聴率(37.8%)をマーク。もともと『愛しあってるかい!』などコメディードラマもうまかったが、この作品はまさに笑って泣ける良質の人情喜劇だった。江口洋介が演じたあんちゃんは平成の寅さんとしてお茶の間の人気者に。ちい兄ちゃん役の福山雅治もブレイクした。「バラバラだった家族が少しずつひとつになっていくのがよかった。ぴょん吉Tシャツ持ってました」(東京都・45歳)

フジテレビ系 最高視聴率37.8%
出演/江口洋介、福山雅治、酒井法子、いしだ壱成ほか
主題歌/財津和夫『サボテンの花』