上演中は完全に“密”の状態
本公演の制作に関わり、実際に観劇した男性に話を聞くと、
「主催側はガイドラインに沿って、出演者の検温や劇場の消毒なども行っていましたが、甘かったと言えば甘かったのかもしれません。一度、“微熱がある”と申告した出演者がいたのですが、すでにコロナにかかったことがあるかどうかを検査する抗体検査を受けて陰性だったことから、主催側も“陰性なら大丈夫”と出演させてしまったそうです。今思えば、微熱がある時点で出演自体を見送るべきだったと切実に思いますね……」
上演中の様子はどうだったのか。
「音漏れ対策なのか窓をすべて閉めていて、1度休憩を挟むタイミングで窓を開けて換気していました。ですので、上演中は完全に“密”の状態でしたね。また、客席側から見ても楽屋は狭そうで、1人でも感染者がいたらクラスターが起こるのは必然だったと思います」(同・舞台関係者)
片手で届くほどの座席間隔はどのように設定されたのか、ガイドラインの作成が間に合わなかったことで休演する考えはなかったのかなどを、主催及び制作であるライズコミュニケーション、また劇場であるシアターモリエールの両者に質問を送ったが、どちらも期日までに回答はなかった。
対策がずさんだったのは主催者や劇場だけではない。キャストたちの意識も、決して高いと言えるものではなかった。
「劇場では“出待ち”をする人も少なくなかったですね。この状況で出待ちをするなんて怖いもの知らずだと思うのですが、山本さんなどはそういったファンの女性と握手をしたり、サインに応じていました。もちろん消毒なんてしていません。
それを咎めなかった劇場スタッフもよくないですが、大切なファンへの対応とはいえ、この時期は断るべきだったと思いますね」(前出・観劇した女性)