「死体1体で1万円」と自慢
映画で描かれていたあの好人物ぶりは何だったのか?
劇中では食料が限られるからと、配給を受け取るのを遠慮している様子だった。ところが実態は違ったようで、居合わせた町民が憤る。
「津波で家を追われた人に炊き出しをしていましたが、全然足りない。おにぎりを2人で半分に割って食べるような状況でした。そこに千葉さんがやってきた。好き放題飲み食いして、お土産まで持ち帰って。周囲に“もう来るな”と怒られていました」
極めつきは、千葉容疑者を映画のモデルにまで押し上げた遺体安置所での出来事だ。
「死体1体で1万円もらえるとみんなに自慢していました」(前出・女性)
映画にも描かれていた、遺体安置所における千葉容疑者の献身。それさえも金銭目当ての行動だったと多くの町民が証言するのだ。
「彼は金になるなら何でもやる。当時、遺体の仕事をもらえるよう役所の人にごまをすっていました」(町内会の女性)
映画の舞台あいさつでは、西田と千葉容疑者が涙を流し抱き合う感動的な場面があったのだが。あれは何だったのか……。
冒頭の石井氏は死体1体1万円という証言について、
「当時は千葉氏本人だけでなく千葉氏の家族、ともに働いた市職員、釜石市長にも確認いたしました。その結果、全員から『ボランティア』という回答を得たので、著書の中でそのように記しました」
いじめの告白までも─。
30年ほど前、市内のリサイクルセンターで一緒に働いていた元同僚女性は、
「彼に職場で嫌がらせを受け、退職に追い込まれました」
さらに別の女性も、
「少し考えが合わないだけで“ぶっ殺すぞ!”と脅されました。人によってコロコロ態度を変える人なんです」
おぞましい証言の数々。
事実関係を千葉容疑者の妻に聞くため訪ねると、
「まだ夫と連絡がとれていません。何があったのか私もわからず、混乱しています」
書籍や映画で、篤志家として祭り上げられた千葉容疑者。
「日本中で有名になり、天狗になっていました。身近な人から見たら人格者なんてとんでもない。偽善者ですよ」
と、前出・田畑さんは吐き捨てる。
美談の裏に隠されていた千葉容疑者のダークサイドが、むき出しになった事件だ。