“切られても”困らない理由
バラエティーを作るつもりでいたスタッフが困惑したのは容易に想像がつく。走るつもりでいたのに泳げと言われたようなものだろう。政治や経済、社会で起きている問題を取り扱う以上、出演者もスタッフもそれなりの心構えが必要になる。事前の打ち合わせもバラエティー番組以上に入念にしなければならず、リサーチや取材も正確さが要求されるように。
「ニュースを扱うわけですから、前日に資料やフリップを用意しても、当日の朝、あるいは放送直前に新しい情報が出てくることも多い。そんなときは放送時間に台本が間に合わないといったことも少なくありません。ですが坂上さんはスタッフの事情を考えずに、“なんでこの情報が入ってないの”と不満をぶつけてくることがあるんです」(同前)
突発的なニュースが飛び込んでくることもある。よほどの重大ニュースでもない限りバラエティー番組ならスルーしてしまうところだが、今では情報番組と化した『バイキング』は取り上げることも多い。そんなとき、スタッフは混乱するのだという。また、芸能ニュースを扱う際も、芸能界の事情に疎いスタッフもおり、地雷を踏んでしまったこともある。
圧力がかかっていたのはスタッフだけではない。共演者も同様だ。
「番組で、坂上さんはゲストのタレントやコメンテーターに均等に話を振ります。タレントサイドにとってこれはありがたいことなんです。自分の“ターン”がちゃんとあって、存在感を示すことができますから。でも、それは台本がしっかりあるからなんです。番組の“回し”はそういった予定調和でできているところが大きいので、台本に沿った発言をしない人は坂上さんに嫌われますね」(芸能プロ関係者)
意向に沿わないことで、消えていったゲストは何人もいる。そのゲストに対し坂上は、
「誰だよ あんな奴を呼んだのは」
とネチネチ文句をつけるという。呼んではみたが番組の方向性に合わないゲストだったということだから仕方ないことかもしれないが、坂上の“王様”ぶりがわかるエピソードだ。
最近は現場にいる制作会社のスタッフは局の上層部から、
「もっとしっかり番組を作れ」
と、プレッシャーをかけられることも多く、スタッフのストレスは溜まるばかりだったという。
そんな重圧から解放されるのだから、彼らの安堵ぶりもよくわかる。しかし、人員削減となり、番組を離れることになる『バイキング』のスタッフは仕事がなくなるのでは? という疑問も浮かびそうなものだが……。
「この番組は曜日ごとに担当のプロデューサーやスタッフが変わる“縦割り”の制作方式を敷いており、自分の担当曜日以外は、別の番組の制作をしているんですね。なので、『バイキング』だけを制作しているスタッフはほぼおらず、切られても別の番組に異動になるのだけで、困りはしないんだとか」(前出・ワイドショースタッフ)
新生『バイキング』には『ミヤネ屋』(日本テレビ系)や『ゴゴスマ』(TBS系)という強敵が待ち構えている。荒海をどう乗り越えるか――。