ほかにも芸人仲間からアドバイスをもらったことも。
「芸人仲間で、よくZOOM飲み会やインスタライブをやっていたんですが、朝3時ぐらいに『THIS IS パン』の岡下クンに“あと4時間後には新作を載せなあかんねん。なんかお題くれ!!”と、インスタライブで言ったら “晴れの日に……傘持ってるやつ……どうスか?”って言ってきたんです。めっちゃおしゃれでドラマありそうやんってことで、そっから2時間半でぶわぁ~って書きました。『Umbrella on a sunny day』ってカッコいいタイトルになっています」
『しずる』村上純からのアドバイスで吹っ切れた
そんな周囲に支えられたBKBも、自身の芸風に悩んだこともあったという。
「僕のことをBKBって言ってるだけのヤツって思ってる人が、世の中の大半やと思うんです。ただ、それは自分の芸風ですし、その路線で行ったことは全然いい。BKBで世にちょっと出れたことは嬉しいですし、BKB面白いって言ってくれることはめちゃくちゃ嬉しいです。僕はそれ以外での評価を受けたことが今までなかったんです」
芸人でも絵がうまいとか、歌がうまいなど、自身の芸風以外で評価を受けている人がいると話したうえで、
「僕はそういうものが何もなかった。実は、ライブでもひとりコントをやっていたりするんですが、知ってくれている人は少ないんです。ユーチューブでアップしても全然伸びないし、興味を持ってもらえないんです。本当はバカリズムさんや劇団ひとりさんのDVD全部持ってるぐらい、ひとりコントが好きやのに……」
小説を書いている間も思い悩んでいた。吉本の同期である芸人仲間で『しずる』の村上純に、こんな思いをこぼしたことも。
「村上クンとは仲いいんですが、ZOOM飲みで“芸人が毎日まじめな叙述トリックの本、書いてるのどうなんかな?”ってボヤいたことがあったんです。すると“BKB,BKBって言ってるヤツが、こんなしっかりした話を書けるのが壮大なボケや。面白いことやってるよ”って言ってくれて、吹っ切れたんです」
書き続けた結果として、話題となり書籍化へと繋がった。BKBだけと言われる劣等感も、少しは和らいだよう。
「“BKBがこんなの書くんや”とか“BKBに泣かされるとは思わなかった”とか、みんないい感じにナメてくれていたんで、それがちょうど心地よかった。“BKBのクセに”がホメ言葉でしかなかったです。認めてくれたってことですから」