Jポップの歴史を彩った作曲家が、覚醒剤取締法違反で逮捕された。男女混成ユニット『Do As Infinity』で活躍した長尾大だ。この名前に馴染みがなくても「D・A・I」というクレジットに見覚えがある人は多いはず。浜崎あゆみの出世作『Boys & Girls』や代表作『SEASONS』の作曲も手がけた実力者である。
それゆえ、逮捕後には自身のフェイスブックでこんな謝罪コメントを記した。
「本件により、ファンの皆様の思い出に泥を塗ってしまったことが 何よりも心苦しく、申し訳ない気持ちでいっぱいです」
実際、逮捕後の報道では、今も毎年、数千万円の印税収入があり、それをクスリ購入の資金に充てていたとも。ミリオンセラーが当たり前だったJ-POPバブルの恩恵を台なしにしてしまったといえる。
懐かしい名曲たちの作曲家
ところで、彼と縁の深い浜崎は今年、自伝的小説『M 愛すべき人がいて』のドラマ化で再注目された。若き日の彼女を演じた安斉かれんはその後『僕らは強くなれる。』で歌手としてもブレイク。作曲は五十嵐充だ。こちらはEvery Little Thing(ELT)の元・メンバー兼プロデューサーで『出逢った頃のように』などの作詞作曲でも知られる。
そんな話から、かつてのJ-POPシーンを思い出す人もいることだろう。'90年代から2000年代初めにかけて、男性作曲家がアイドルやグラドル出身の歌姫をプロデュースし、ブレイクさせることが流行した。
浜崎や持田香織(ELT)もそうだし、篠原涼子や安室奈美恵、華原朋美と小室哲哉のケースもまたしかり。ZARDの坂井泉水と長戸大幸及びビーイング系作曲家のケースもそれだ。
また、音大生だったakkoに惚れ込んだ小林武史が作ったのがマイラバことMy Little Lover。音大生といえば、川本真琴もデビューは岡村靖幸のプロデュースだった。
当時は「プロデューサーの時代」などとも呼ばれたものだが、その流行はやがて怪物的なアイドルグループも産み出すことに。つんく♂が手がけたモーニング娘。である。
とまあ、ここまで見てきて、登場人物たちがみな、いろいろあったことにしみじみしてしまう。個人的には、狩野英孝の二股騒動で川本が話題になったことがいちばん意外だったが、かつての人気プロデューサーたちの失速ぶりにも驚かされる。
小室や岡村は詐欺やクスリで逮捕されたし、小林は不倫で世間を騒がせた。また、つんく♂はガンを患い、声を失ってしまう。こうした悲劇の連鎖は、いったいなぜ起きたのか。