トラブルも起きている。そのひとつが映画の舞台にもなった福岡県の旧犬鳴トンネル。日本最恐の心霊スポットと呼ばれ、過去には殺人事件の現場にもなった。同県久山町の担当者はため息をつく。
「昔から訪れる人は多いですが、ゴミや夜中の騒音の問題に近隣住民は困っています」
畑トンネル(埼玉県飯能市)を管理する市の担当者も、
「心霊スポットではありません。SNSなどに書き込まれるようになって急に若い人が増えました。通行の妨げや騒音の苦情が出てます……」
吉田さんは怪談ライブで怖い話をしているとだんだん場の空気感が変化し“変なものが見えた”“音がした”なんてことがよくあると明かす。
「こうした空気感を参加者と共有することが怪談の醍醐味です。それはライブやクラブの盛り上がりや空気感と一緒。ですからそこを離れたら消えますし、映像や音響に残ることはほとんどありません」
そんな体験を求めて人はいわくつきの場所を訪れるのかもしれない。
取材後、帰宅すると記者の自宅マンションにひとりの男性が入って行った。ご近所さんかな、と思ったが、にしては不自然。私の住むマンションの玄関は古い鉄の扉で、開閉時に大きな音がする。しかし、開閉音は聞こえず、建物を見上げても廊下には誰も歩いていない。そして明け方、押し入れの中から、トントントンとノック音がした。
警告なのか、何か訴えたいことがあったのか。まさに『倍返し』された夜だった。