『週刊女性』で「田村淳のアニメお遍路日記」を連載中の田村淳の言葉に耳を傾ける3人(相馬Pは淳の隣に置かれたパソコンの中です)
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【写真】熱く語り合うトークの様子、劇場版「SHIROBAKO」キービジュアル

ムサニみたいな現場がホントにあったら……

──『SHIROBAKO』の中で好きなキャラクターは誰でしょうか。

田村僕は断然、木下監督ですね。監督の苦悩が一番身近に感じられました。責任重大だけど、クリエイターとしての自分の味を出したいところ、チームをまとめなきゃいけないところ、クオリティーに厳しいところ。でも自分に甘いところが、一番人間だなぁと思いましたね。そんな監督をただ注意するのは簡単だけど、『SHIROBAKO』は、監督が右往左往するのをみんなで支えてチームが1つになっていく、その群像劇がたまらないんですよ。とはいえ、最初はあんまり監督を好きじゃなかったけど(笑)。

木村:私は自分が演じていないキャラクターだと、脚本家を目指している今井みどりちゃんが好きです。覚悟が決まってるというか、すごく芯が強い子として描かれていて。特にテレビシリーズのとき、原画担当の安原絵麻ちゃんとのやり取りで、「りーちゃんは怖くないの?」っていう質問に「脚本家になれないほうが怖いです」って言うセリフがめちゃめちゃ好きで、りーちゃん(今井みどり)はカッコいいなって思いました。

佐倉:私はちょっと対極にいる2人で、制作進行の高梨太郎と撮影監督の佐倉良樹さんです。何も言わずに「大丈夫、やってみせる」って仕事で応えていく佐倉さんタイプの人。うだうだと口だけなんだけど、みんなに支えられてやっていけてる高梨タイプの人。なんか、どっちも現実の世界で見たことある気がする! って思ったんですよね。でも、どっちも憎めないし、どちらも人間味があって、そこがいいんです。

相馬僕ら業界人からすると、平岡大輔っていうキャラクターが一番リアルで共感できますね。彼は挫折的な感じで1回アニメを作ることへの情熱が冷めちゃってるんです。ただ、そこから高梨たちと一緒に仕事をすることで、もう1回、業界で頑張っていこうって気持ちが再燃するんですよ。劇場版だと、宮森あおいの車に乗って会社まで送ってもらうシーンくらいしか目立ったところはないんですけど(笑)。

 でも、あそこも実はすごく重要で。あおいが思い悩んでいるときに、「おまえも頑張れよ」って言うシーンがありますが、あれは僕らも、会社が違っても仲間みたいな人たちっているんですよね。ああいうふうに自分がつらいときに、ちょっとしたひと言を言ってもらえると背中を押してもらえるんです。だから僕は平岡が好きです。

──“アニメ作品を作るプロデューサー”ってどんな気分でしょうか?

相馬:みんなでチーム感を出して盛り上がって、最後完成させる、っていうのを描いてますけど、実際の現場でも、そこにいくまでって、アニメーションで描き切れないほど、いろんなことがあります。そのたびに「ムサニいいな」ってすごく思うんですよね。彼らはすごく優秀なので。ムサニみたいな現場がホントにあったら楽だな、って思うときがあります。現実だと太郎みたいなのしかいないから(笑)。

一同:笑

田村:彼(太郎)ばっかりじゃ成立しないですもんね(笑)。

相馬:そうですね(笑)。

田村:『劇場版「SHIROBAKO」』の最後で、「いや、もう1回気になるところ、あそこまで立ち返ってやりなおそうよ」みたいなシーンがあるじゃないですか。あれは実際の現場でもあったんですか?

相馬:アニメーションって、1回作って1回撮影をして終わりではなくて、よりよくするためのブラッシュアップ作業っていうものが結構あるんですね。監督の求めているレベルは高いので、そこにたどり着くまで何度もやる。テイク1、テイク2みたいな感じでやり直す作業は、すごくたくさんあったので、ある意味、作り直すに近いようなことはありました(笑)。

田村:へー! でも戻るのって大変そう……。