“気持ちが伝わる会見”が求められている
それを証明するように、山口達也の不祥事に関するTOKIOの会見('18年)や、吉本興業の「闇営業」問題について説明する宮迫博之&田村亮の会見('19年)からは、誠心誠意、気持ちが伝わってきたという人も多いはず。
TOKIOのメンバーや田村亮に対する好意的な反応は、記者会見を開いたからこその効果であり、今の時代は“気持ちが伝わる会見”こそ求められているといえそうだ。
芸能人の発信の場は広がっている。しかし、どんな形で記者会見を開くにせよ、見ている側を納得させるためには、いつの時代もその当事者“らしさ”や“誠実さ”が鍵のようだ。
●芸能ジャーナリスト・渡邉裕二さん 「記者会見はエンタメから政治になった」
かつての記者会見は、ワイドショーと連動することでエンタメの装置としての側面が強かった。また、芸能人も記者会見を開くことで、「マスコミから追いかけられずにすむ」という抑止力につながった。
しかし、今はどちらかというと事務所の都合で、わざわざ開くという傾向が強い。いわば、政治力の装置としての記者会見。どこか裏を読んでしまうところがあり、かつてのように視聴者が記者会見を楽しむといった感覚も希薄になっていると思います。
わたなべ・ゆうじ。芸能ジャーナリスト。松山千春『旅立ち〜足寄より』CD、映画、舞台などを企画、プロデュース。主な著書に『酒井法子 孤独なうさぎ』など。
●当事者・林葉直子さん
世間を騒がせたアノ人が語る“会見の裏側”「不本意な当事者も多いかも……」
失踪騒ぎ、不倫騒動、豊胸手術、自己破産……数々の記者会見を体験した林葉直子さん。記者会見のときの胸中を振り返ってもらった。
「う~ん、多すぎて覚えていない(笑)。でも、失踪騒ぎのときは、大騒ぎになっているなんて思わなかった。帰国して、緊急会見を開くと言われて、『なんで!?』って。しかも会見の直前、師匠(故・米長邦雄さん)から『立場を悪くしたくないなら謝りに来なさい』というメモを渡されて……。
悪いことをした覚えはないし、まだ公になっていなかったけれど不倫をしていた時期でもあったんで(笑)、いろいろ複雑な思いでしたね。
だから、あの場であまり発言しなかったのは、反省していたとかではなくて、話すことがなかったからなんです。あのときの私みたいに記者会見が不本意な当事者も多いんじゃないでしょうか。あ、渡部建さんはやったほうが世間が納得すると思いますよ(笑)」
はやしば・なおこ。1968年生まれ。元女流棋士、小説家、エッセイスト、漫画原作者、占い師。さまざまな行動で世間をアッと言わせてきたことでも知られる。