「今、京都の祇園が本気でヤバい。凄まじい苦境にあえいでいる」。そんな話を耳にした。なんでも悲しいほどに人通りが少なくなり、「ゴーストタウン化が進んでいる」のだそう。
新型コロナウイルスは日本中の観光地に大きな打撃を与えた。なかでもとりわけ強く影響を受けたのが京都の「祇園」だろう。
祇園が「ゴーストタウン化している」という噂は本当か
祇園といえば京都を代表する繁華街。八坂神社へと続く門前町であり、参道はいつも賑やかだった。また、舞妓はんがしゃなりしゃなりと歩く花街としても知られている。ひところはインバウンド(訪日外国人旅行)が押し寄せすぎて歩行すら困難になり、舞妓はんの腕をつかむ訪日客が現れるなどマナーも悪化。「観光公害」が起きるほどの活況を呈していた。
しかし、インバウンドに経済的な依存傾向を強めていた祇園は、2月から海外、とくに中国からの来訪者を失い、第1波と呼べる危機を迎えていた。歌舞伎などが上演される『南座』、吉本興業のお笑いが楽しめる『よしもと祇園花月』など文化・娯楽施設も続々と休館(ともに8月に再開館している。しかし南座は演目により秋期以降も休演がある)。夏の京都の花である祇園祭の山鉾(やまほこ)巡礼は「58年ぶりの中止」に。屋台が立ち並ぶ「宵山」も中止となり、祇園はこれでもかと痛手を負い続けた。
さらに風向きが変わったのは、皮肉にも緊急事態宣言の解除後。まず6月に祇園で集配を行うドライバー4名の新規感染が確認された。続く7月7日、祇園新地甲部組合は舞妓はん2人の感染を発表。この報道が拡がり、祇園はさらなるピンチを迎えた。