FAXでしか連絡を
とれないメンバーが!

 これほど長くメンバーと会わなかったことがなかったという自粛期間。どのように連絡をとり合っていたのか聞くと、

高見沢「坂崎と僕は、レギュラーのラジオ番組がありましたけど、桜井に至っては消息がわかる手立てがFAXだけ。スマホも持っていないし、インターネットの“ネット”もない。頭にかぶる“ネット”は持っているようですが(笑)

桜井「持ってないよ(笑)。僕は、ふたりのラジオを聴いて、元気なんだなと(笑)。周りからは、“あの人どうなっているんだ”と言われていたみたいですけど、普通に生活をしていました。ただ、問題なのは、自分が何の商売をしているのか忘れそうになるんです(笑)」

坂崎「米屋さんだったかな? 何屋さんだったかな? って(笑)」

桜井「忘れちゃいますよ。1日テレビ見ながら、“あぁ、そうかい”って」

高見沢テレビにツッコミ入れて(笑)

桜井「今まで、年齢のことを気にしたことがなかったんです。実際、若いつもりでいるんですけど、このコロナ騒ぎで“65歳以上の人は”と言われたときに、“あぁ! オレ、65歳だ!!”と(笑)。そこで、改めて、コロナにかかっちゃいかんと」

 新曲のレコーディングは、密にならないよう、十分に気をつけて行われた。

高見沢「3人一緒にやっていたコーラスも、ひとりひとり録って」

桜井「ただ、このシステムって、コロナになる前からやっていたことではあるんです。去年出したアルバムのときもそう。坂崎のスケジュールが合わないときは、ふたりでできる分だけ作業を進めて、後で坂崎の声を合わせる。このやり方だと、主旋律を録音する前にコーラスを入れることになったりする。だから、きっちり音をとらないと声が重ならないからシビアですよ

坂崎「ピッチ(音程)がちゃんとしてないとピッチリ合わない(笑)」

高見沢「お後がよろしいようで(笑)。今回の新曲のメインボーカルは桜井です。これまでフォーク系の曲のメインは坂崎に歌ってもらうことが多かった。だからこそ、逆に桜井の艶っぽい声で歌ったら面白いかなという気がして。実際にレコーディングを始めたら想像以上のものができあがるわけです」

坂崎FAXしかなくても、この“艶のある声”があればいい(笑)

高見沢「スマホもなくていい。この声があれば(笑)」

桜井「僕のことは、放っておいていいですから(笑)」

 『友よ人生を語る前に』の歌詞にある“夢”という言葉について、すでに夢を叶えたように思う3人に聞くと、

坂崎「まだ夢の途中。叶っていないですよ」

高見沢「僕ら、ブレイクしたとは思っていないんです。だから、これから大ブレイクですよ。夜明け前の感じがしている」

坂崎「長いな、助走が(笑)」

桜井「このまま逝っちゃったらどうするんだ(笑)」

高見沢「20代前半でデビューして、そのときの夢だったコンサートやツアーは叶っています。でも、今、延期になっている。以前の生活を取り戻すことができるよう祈るしかないのですが、音楽ってやっぱり対面してなんぼだと思う」

坂崎「僕らだけのことではない。この状況で音楽を目指す人が減ってしまったり、諦めてしまう人が増えたら、大損失ですよね」

高見沢「つらい現実ではあります。変な言い方かもしれないけれど、今は夢を叶えるために、我慢するしかないのかな、と思っています。もちろん、自分たちもそうですから」