暮らしのトラブル編

主婦が暗躍するネットの「特定班」法的に許される?

 世間を騒がせた人物の身元を探り出し、ネットにさらす「特定班」。「迷惑なやつなんだから当然の報いでしょ!」と考えたくなるけど……。

「警察や報道機関がすでに公表している以外のことを調べ、公表することは“プライバシー権の侵害”や“名誉毀損”にあたる可能性があります」

 そう小沢弁護士は警告する。悪いやつにおしおきするつもりが、自分が違法行為をしていた──なんてことに!

 そればかりか、相手から損害賠償や慰謝料を求められる可能性だってある。

「デマはもちろん、たとえ真実でも、公表されていない情報は拡散しないことです」

 公表ずみの内容に関する書き込みでも、こんな注意点が。

「事実をもとに人をけなす行為も名誉毀損や侮辱になることがあります。“この行動はおかしい”といった事実への感想なら大丈夫ですが、“あんな行動をするなんて気が狂ってる”などと人格を非難する書き込みはNG。ネットの書き込みに対しては最近、複数の事業で問題点が浮き彫りにされており、司法の判断が厳しくなる可能性もあるので、いっそうの注意を」

 自分が書き込んでいなくても、他人が書き込んだ悪口や未公開情報を「リツイート」などで拡散するのもNG。軽い気持ちや善意で拡散したとしても、「結果として悪口のビラをコピーしてばらまくのと同じです」(小沢弁護士

「自粛警察」に脅されたらどうすればいい?

 コロナの終息が見えない中、店や自宅に「自粛しろ」などと貼り紙をされる、苦情の電話が何度もかかってくるといった被害があとを絶たない。こうした「自粛警察」に、どう対抗すればいい?

「議論しても、相手の行動がエスカレートする可能性が大。基本的には相手の主張を聞いて、“参考にさせていただきます”と受け流すことです」(小沢弁護士

イラスト/シライカズアキ
イラスト/シライカズアキ

 ただし、自粛警察の内容次第では罪に問えることも。

「罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせると侮辱罪に、“店を閉めないと、どうなるかわかっているんだろうな”などと脅した場合は脅迫罪になる可能性があります。また、ガラスを割ったりすれば器物損壊罪に、クレーム電話も回数や内容によっては威力業務妨害に問われる可能性が。実際に被害が生じた場合は警察に相談してください」

 その際に重要なのが、防犯カメラなどを使って、いつ、誰に、何をされたか記録し、証拠を残しておくこと。

「相手に損害賠償を求めたりする際も、証拠が必要です」