ウチの息子がCMに出るの
父とは疎遠で、母親に見守られながら育った。大森が杉並区で母親と暮らしていたころのことを知る人がいる。近所にあった酒屋の店主だ。
「南朋くんは、お母さんと一緒に2〜3年くらい近所に暮らしていました。当時は“駆け出し”といった感じで、たまに缶ビールを買いに来ていましたが、会話することはありませんでした。むしろよく来ていたのはお母さん。顔立ちのきれいな人で、女優か歌手なのかと思っていました」
店内ではいつもシャンソンを口ずさんでいたという。
「あるとき“うちの息子がサントリーのCMに出るのよ〜”と得意げに教えてくれて、そこで初めて南朋くんが俳優だと知ったんです。その後、引っ越してしまってからは“着実に階段を上っているな”と応援していました」
大森は、1996年に田中裕子と『サントリーオールド』のCMに出演している。
「《恋は、遠い日の花火ではない。》というフレーズが印象的でした。大森さんにとっては、これが転機です。このCMを担当した市川準監督に褒められ、俳優業に本腰を入れようと決意したそうです」(前出・テレビ誌ライター)
『わたナギ』でのナギサは、亡くなった母に思いを馳せて家政夫になった。
そして、大森は母にとって自慢の息子。“優しい男役”がハマることは、昔から知っていたに違いない。