さあ、これからフィギュアシーズンと思っていた矢先、突然の発表が日本中を揺らした。8月28日、日本スケート連盟は、羽生結弦が今季のグランプリ(GP)シリーズを欠場すると発表したのだ。

「フィギュア界の絶対王者が、欠場を真っ先に表明したことで騒然となりました。国内の宇野昌磨選手や紀平梨花選手をはじめ、海外のトップスケーターの動向にも影響を与えかねません」(スポーツ紙記者)

 初戦の『スケートアメリカ』の開幕はまだ1か月以上あるが、先行きは怪しい。

羽生選手が辞退理由のひとつにあげたのがコロナによる渡航規制や自主隔離などの世界的な制限です。緩和されるのか、再び強化されるのか日本国内でも見通しが立たない状況です。どんなシリーズになるのか、羽生選手が不安な気持ちになるのもうなずけます」(同・スポーツ紙記者)

“ドミノ辞退”の可能性は?

 羽生が欠場することで、ほかの選手の“ドミノ辞退”はあるのだろうか。スポーツライターの折山淑美さんは、それはない、とキッパリ。

羽生選手は持病のぜんそくもあって、ことさら気を遣ったのでしょう。選手個々の問題ですから、“ドミノ辞退”ということにはなりません。今季のGPシリーズは特例で1選手1大会だけの出場となりましたから、先日、スイスへ向かった宇野選手や、イタリアを中心に活動している紀平選手は日本のNHK杯ではなく、フランス杯かロシア杯に挑む準備を始めたんだと思います

 宇野は公式サイトの中で、昨年と同じプログラムで戦うことも表明している。

「昨シーズンは全日本選手権で4連覇を達成するも、コーチ不在問題などもあり不本意だっただけに、意気込みが伝わってきます。ただ、12月に北京で開催されるGPファイナルや、同月に長野で予定されている全日本選手権はコロナの状況次第になりそうです」(前出・スポーツ紙記者)

 羽生もGPシリーズ以外の出場は未定のようだが、厳しい状況は続きそうだ。

「渡航や帰国時の2週間の自主隔離期間が、フィギュアスケーターにとって最も頭を悩ませると思いますね」

 そう語るのはフィギュアスケート解説者の佐野稔さん。