いじめっ子はいつも“ひとり”を狙う
栃木に移住後の紗栄子を見つめてわかったもうひとつの変化にも注目したい。
それは、紗栄子のYouTubeやインスタに登場する“陽キャラ”な男性マネージャー・万太郎氏の存在だ。
この万太郎氏、ごく最近マネージャーになったようで、2017年から紗栄子のスタッフが運用していた公式インスタアカウントも引き継ぎ、《実は強引にこのスタッフアカウントを乗っ取ってみました、、、yay》(9月5日)とアゲアゲな様子で自らを前面に押し出している。
遡ってみると、このアカウントはかつて複数人のマネージャーが携わっていたとみられるが、特にキャラ立ちや主張もなく(「スタッフC」といった感じで)、主にモデル業や慈善事業の告知ばかり。対し、万太郎氏は躍動する。9月8日の投稿では、会社の資金を使い、勝手に紗栄子のLINEスタンプを作る計画を発表。イラストレーターの募集をかけたりと、見切り発車でノリノリだ。スタンプって……紗栄子、イジられとるやん。
一方、YouTubeでは逆に紗栄子が牧場に落ちているアブの死骸を手づかみし、嫌がる彼に放り投げるという一幕も。もはやモデルとマネージャーというより、栃木を拠点に活動する牧場系コンビYouTuberにしかみえない。
長年叩かれ続けてきた紗栄子に必要だったのは、こういった、「愛すべき一面をともに発信できる仲間」だったのではないか。いつの時代もいじめはの標的は“ひとり”だ。誰かに必要とされる彼女の姿が可視化された瞬間、叩くアンチの指も止まってしまうのかもしれない。
そんな彼女は2012年に雑誌『saita』のインタビューで「どうしても克服できない苦手なものは?」という質問に《ゴキブリとか虫系。もしも見つけたら、どこかいなくなれ!って、見て見ぬふりします(笑)》と答えているが、8年後のYouTubeでは、一心不乱にアブを素手で潰す特技も披露している。モデル路線だったころのファンが混乱するほどの環境適応能力である。
炎上キャラから牧場キャラへの転身。紗栄子の人生第二章が面白くなりそうな気がするのは私だけではないはず。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉