新しい証券トレーディングシステムを導入する予算が数億円

 証券トレーディングシステムのリニューアルを行うこととなった『東京セントラル証券』。それを請け負うのは、検索エンジンサービスの開発・運用で勢力を伸ばしていた新興 IT企業 『スパイラル』。その予算は数億円ということだったが……。

「これは安すぎると思いますね。仕様にもよりますが、トレーディングシステムをイチからリニューアルするのであれば、100億円単位になると思います」(吉田さん)

検索エンジンサービスの企業が証券トレーディングシステムを請け負う

 そもそも検索エンジンサービスを提供している企業が、証券会社のシステムを請け負うことなんてあるのだろうか?

「ソフトバンク、ヤフー、みずほ銀行の関係性を考えればあり得ない話でもない気がしますが、本作のような新興IT企業に委託することはほぼないでしょうね」(吉田さん)

 “あり得ない話ではない”という3社の関係性はというと、

「ヤフーはソフトバンクの子会社で、みずほ銀行はソフトバンクのメインバンク。ソフトバンクとみずほ証券が合弁で『One Tap BUY証券』に出資をしていて、将来的に『PayPay証券』にするという話です。

 PayPayの株主はソフトバンクとヤフーですから、One Tap BUY証券がどこのシステムを使っているかわかりませんが、店頭取引型のシステムならヤフーのエンジニアでも作れそうな気がします。しかし、既存の証券会社は野村総研が多いと思うので、普通のトレーディングシステムならありえないと思いますが……」(吉田さん)

営業企画部の部長がメールの痕跡をすべて消す

 半沢の古巣である『東京中央銀行』の伊佐山泰二(市川猿之助)に諸田祥一(池田成志)が買収の情報をリークするメールを送信。しかし、そのメールが半沢にバレ、三木重行(角田晃広)がメールの受信記録をすべて削除するという暴挙に……。

実は証券会社では社員が不祥事の際に証拠隠滅を図り、お客様とのメールを削除してしまうということは多々ございます。バレたくないという人間の性なんでしょう。

 しかし、証券会社はそういった事態も想定しているため、サーバーのシステムにすべてログ(記録)が残されていて、総務課で復元することができます。ですので、本当の意味で痕跡を消すことはできないと思われます」(吉田さん)

株価が3万円台なのに、値動きが1円単位

 敵対的買収を仕掛けられている『スパイラル』の株価の値動きは、何度かドラマ内で描かれる。

3万円台の株価の値動きが1円単位というのは、ありえないと思います。3万円台なら50円か100円刻みです」(吉田さん)

 リアリティーか面白さか。ただ1つ言えることは、『半沢直樹』は本シリーズも大人気であるということだ――。