スペイン語のコントを、旅の合間に路上で披露
海外に行くのも初めてだったという石本。企画開始から間もなく、親切なアルゼンチン人のご厚意でスペイン語を学ばせてもらったことが、大きな分岐点だったと振り返る。
「最初のころは身振り手振りでどうにかコミュニケーションをとっていたので、精神的にもしんどかったですね。でも学校に通って言葉を覚えたおかげでうまく意思疎通がとれるようになってからは、旅も楽しくなって。言葉を覚えたおかげで、企画の方向性も決まった感じがしましたね」
過酷な旅の中でも芸人であることを忘れず、いつ放送されるかわからないネタ動画も一緒に番組に送り続けていたという。そんな行動がペルーで役に立った。
「芸人というプライドは捨てたくなかったので、スペイン語でコントを作って、旅の合間に路上で披露していたんです。
最初はまったくウケなかったけど、少しずつウケ始め、ペルーでは多いときには1回300人ぐらい集まるようになって。そしたら、たまたま番組プロデューサーさんが見て声をかけてくれて、番組に出ることになりました」
現地のバラエティー番組に約1か月間、出演したこともあり、たちまち人気者に。
「あの時期は街を歩いたら声をかけられたりしましたね。手ごたえも感じていたので、一時は本気でヒッチハイク旅をやめて、このままペルーでスペイン語コントで食っていこうか悩んだほど。でも、ゴールするという目標があったし、1か月ぐらい快適な生活もさせてもらえたから、旅を再開させなきゃなとペルーを離れることにしました」
当然、楽しいことばかりなはずもなく、企画中は何度も死を覚悟したそうだ。
「ペルーではディレクターが暴行され、コロンビアでは僕らも暴行されそうに。あとは乗せてもらった車が横転したときは、さすがに車に乗るのが怖くなって旅を続ける自信がなくなりましたね」