人の喜びが自分の幸せ
'06年に主演舞台『田園に死す』で芸能界の門をくぐった中村。しかし、当初は戸惑いばかりだった。
「もともと芸能界にあまり興味はなかったんです。高校生のときに福岡から上京してからですね、変わってきたのは。普通、両親は“ダメだったら帰っておいで”って感じで送り出すじゃないですか。でもうちは”成功すると信じている!“としか思ってなかったので、これはダメだからって帰れないなと(笑)。自分で上京すると言い出したこともあり、本腰を入れてというか、より真剣に向き合うようになりました」
また、この作品との出会いで、より強く俳優の道を志すように。
「上京したばかりのころに、『ひゃくはち』という野球の映画をやらせていただいたんです。共演者も同年代の方が多く、みんなで合宿して野球の練習したり、監督にもよく怒られましたが、初めて作品作りをがっつりと体験させていただいた作品。
体力もメンタルもきつかったですが、この映画の現場の大変さを知ったおかげで、その後の作品はどんなにつらくても乗り越えられたという感じです」
そこから数々の作品に出演し、来年で30歳。「身体は全然元気です」と笑うも、気持ちの面でオトナになってきたと話す。
「上京したときは、両親が喜ぶためにという思いで俳優をやっていたんです。それが少しずつ強くなってきて、『エール』もそうですが、演じることで自分や両親以外にも喜んでくれる人がたくさんいる。人の喜びが自分の幸せになってきたのが、オトナになってきたのかなと思います」
また演じたいと思っていた
『赤ひげ』では青年医師に!
この秋、『赤ひげ3』にも出演する中村。小石川養生所の医師”赤ひげ“こと新出去定(船越英一郎)と青年医師との交流、多彩な市井の人たちを描く本作で、医師の保本登を演じている。
「第2シリーズが終わったとき、どうしてもまた保本を演じたいと思っていたんです。撮影初日にはそれが解放されて、その熱量を一気にぶつけました。今回、新しくつぐみ(優希美青)という才能を秘めた女性医師が加わります。彼女の存在に振り回され、どこか争うような、男の小ささじゃないですけど、保本たちの可愛らしい部分を見ていただければと思います」