「八千草さんの希望は、“この家で最後を迎えられたらそれでいいの”ということだけでした。“この家と庭はなんとか残しては”と周りの人は言ったんですが、八千草さんは“それはうれしいけれど難しいでしょう? この家も建ててから50年以上たってる私と同じお年寄りだし”と」(前出・知人)
それでも、残された人々はできる限り八千草さんの思いにそいたい、と手を尽くした。
八千草さんの家の匂いを残す
「八千草さんが亡くなられてから、事務所社長が中心になって“八千草の家の匂いを残してくれる方に譲りたい”と個人でこの家と庭を引き継いでくれる方を探していたんです」(前出・事務所関係者)
なかなか売りに出されることのない都内一等地にある広大な邸宅である。「売り出した」となると、すぐに内見に来た購入希望者も何組かいたという。その中には、
「結婚したばかりの有名な女優さんも見えたと聞いています。“お庭も建物も全部このままで住みたい”と購入にかなり前向きだったそうですがいろいろネックがあって、最終的に購入を諦められた、と」(前出・事務所関係者)
予想だにしなかった新型コロナの影響も受けた。
「不動産売買の動きがストップしてしまって、個人の買い手は見つからず。結局、戸建て分譲を扱う不動産業者に売ることに決まりました」(前出・知人)
一周忌法要は葬儀同様、身内だけで執り行われる。それも八千草さんたっての望み。
「生前親しくしていた方々から“お別れの会を”というお話もあるそうなんですが、事務所の社長がすべてお断りしているそうです。“八千草が大げさなことはしないで、と何度も言っていたので”とね」(前出・知人)
八千草さんは、最愛の夫と一緒に関東近郊の寺院で安らかに眠っている─。