《最低な母親》っていうコメントが来た
●CASE2● 美佳さん(47・仮名)
娘の写真をアップしたことで人間不信に
2人目の被害者は千葉県に住む専業主婦の美佳さん。夫と2人の子どもに恵まれ、幸せな日常をインスタグラムにアップしていた。
「正直、(インスタ投稿は)マウンティングのような感覚でした。だから娘の画像を発見したときは誰かにひがまれて嫌がらせされたのかと最初は思って」
美佳さんは投稿した長女(当時9)の顔写真を加工され、児童ポルノとして使われてしまった。
「そんなこと考えたこともなかったんですが、インスタとかには子どもたちをそういったイヤらしい目的で、見に来ている人たちがいるらしいのです」(美佳さん)
発覚はコメント機能からだった。
「今年の4月、突然フォロワーが増えたんです。コメントも海外からとか、ハートの絵文字とか。子どもたちが可愛いからだとのんきに思っていたら《最低な母親》っていうコメントが来たんです。どういうこと? と思ってそのユーザーにDMでメッセージを送りました」
美佳さんはそのときに送ったメッセージを見せてくれた。
《初めまして。先ほどコメントいただいた最低の母親とはどういうことですか? あなたは誰なんですか?》
その返信で送られてきたのは、長女のフェイクポルノ画像だった。スクール水着を着た長女がアイスクリームを食べながら下腹部をいじっている。
「フリーズしました。頭の中が?だらけで、加工されているという考えにも及びませんでした。娘が誰かに誘拐されて撮影されたのかとかいろいろ頭をよぎりました。でも、思い返してもそんなことは確実にないし、娘の様子も変わったところはありません。
娘はコロナ禍で休校していて家にいたのですが、直感で見せないほうがいいと思いました。今でも自分のその判断だけは正しかったと思っています」
美佳さんはまず返信をくれたユーザーに画像の出どころを聞いた。
「わたしの返信を見て画像がフェイクポルノだと勘づいたようです。丁寧に児童ポルノサイトとフェイクポルノの存在を教えてくれました」
その後、サイトに画像の削除要請を出し警察に被害届を提出した。
「サイトの画像は一応消えましたが、保存されていたり拡散されているのは抑えられない。警察によると、こういうのを作るのは身近な人というよりランダムに子どもの顔を適当に探して集めているのだそうです。だから恨みやそういったことではないと思いますよ、と言われました。
最初はママ友とかからのひがみかと本気で思っていたんです。その発想がもう醜い人間関係ですよね。娘の卑猥な画像が一生さらされると思うと自分を呪いたいです」
美佳さんはインスタグラムだけではなく、フェイスブック、LINEなど、すべてのSNSから子どもの顔を消去した。
「幸せな時間を汚されたような思いと、自分の見栄のために子どもを使ってしまったことがいちばん許せない。自分のことが許せないです」
美佳さんは今も自分を責め続けている。