美奈子はありがたいキャラだった
また離婚して次の奥さんである美奈子さんと出会うが、彼女は前夫との間にできた五人の子を連れていた。美奈子さんとの間にも一子ができるが、離婚。そしてやっぱり、復縁と離婚を繰り返した。
テレビの中でダディが、別居しようと伝えると、泣きながら雨の中を飛び出していく場面は、多くの人が記憶している。
「あれ、かなり前から話し合っていたことだったのに。カメラの前で話すと、新鮮な感情を爆発させる。あいつが冷静に黙っていたら、『心の中にはさまざまな葛藤があった』みたいなナレーション、テロップを入れなきゃならないでしょ。
番組側からは、本当にありがたいキャラだったね。でも美奈子は、わざとでも演技でもなく、すべて素でやるんですよ」
美奈子さんもなかなか豪快なキャラで、ダディに次ぐ存在感だった。
「美奈子さんが書いた本は映画化されたでしょ。なかなかきわどいシーンも多かった映画でしたが、ご覧になってどうでしたか」と聞いてみると。
「なんといってもびっくりしたのは、テレビで本人も公開した背中の刺青。あいつを演じた女優さんの背中に、そっくりそのまんま正確に描き込んであったこと。
裸になって俺役の俳優さんと絡むシーン、なんか俺たちがのぞき見されてるような、盗撮されてるような、妙なエロい気持ちになった」
これまた、いかにもダディな感想だ。素直に思ったことを口にしているだけなのか、ダディのイメージを保つために計算し尽くされているのか、わからなくなる。
連れ子たちを引き取ろうと考えていた
ともあれダディの奥さんたちもなかなかに奔放で、何度も籍を入れた元奥さんは別の男性との間に三つ子ちゃんを産んでダディのもとに押しかけているし(そしてまた出て行ったとか)、美奈子さんも今は三度目の夫との間に二子を産んでいる。
ダディは実子だけでなく、美奈子さんの連れ子も同居させて面倒を見ていたし、同居こそしないものの、最初の奥さんが別の男性との間に産んだ子どもたちもいまだに可愛がっているという。
美奈子さんとはもはや復縁はないものの、縁は完全に切れずに連絡をとり合っている。元夫婦として、一緒にテレビ出演もしておられたし。
なお、離婚の際、「育児がひとりでできるか心配だから」と、連れ子たちを引き取ろうと本気で考えていたという。
「美奈子の今の夫、もともと俺のほうが先に知り合ってたんだよ。あいつ、初婚でいきなり6人の子持ちになったわけでしょう。テレビカメラの前で怒鳴ったりしたことが批判されてたけど、それでもよくやってると思うよ」
ダディの周りの人間関係は、複雑に考えていくともつれた糸のようにこんがらかってくるので、すべてそれもあり、とざっくり受け止めるしかない。ダディに近づくと、楽に生きていいんだよ、と素敵な洗脳をされてしまう。
そしてこの二人の後にも、短期間で終えた結婚相手が何人もいる。目まぐるしく奥さんを、そして家族構成を変えながら、あちこち移住も繰り返す。整骨院を作ったり、たたんだり、ときに歌舞伎町でホストになったり、プロレスラーやAV男優をやるといいだしたり。
それはダディのそのときどきの行き当たりばったりな迷走にも、確たる信念でもって家族を率いる開拓者にも映った。
なんだかんだで、家族は全員ではなくてもダディを信じてついていくのだ。そこに葛藤やケンカや迷いはあっても、結局は楽しそうに、幸せそうに。