近代の文豪には年の差婚が多かった
先述した小柳ルミ子のときもそうだったが、年の差婚は世間の妄想をかき立てる。加藤茶・綾菜夫妻が、大きなバッシングにさらされたのは記憶に新しいだろう。
「年の差婚を偏愛と受け取る人は、ドラマ性を見いだしてしまうのではないか」とは、日本近現代文学を専門とする日本大学芸術学部教授・ソコロワ山下聖美さんの言葉。
「文学は障害を描くものが多いですから、世間の耳目を集めやすい側面がある。最後がハッピーエンドになるかどうかは別として、不倫や年の差婚が話題を呼ぶのは、今も昔も変わらない」
実際、近代文学の文豪たちの中にも年の差婚は少なくなかったそうで、夏目漱石、森鴎外、川端康成らは10歳ほど年下の女性と結婚しているとか。
「当時は、妻が夫と対等ではなく、『女三界に家なし』という時代。私見ですが、儒教が浸透しているような、作家を含むインテリ層に年の差婚が多かった。血筋や家柄がものを言いますから、若い年下のおしとやかな女性を紹介してもらうケースも珍しくない。鴎外は、写真だけで結婚してしまったほど」(山下さん)
森鴎外は写真婚&年の差婚だった! というのはさておき、時代観こそまったく異なるものの、言われてみれば年の差婚カップルを見ていると、上川隆也、大森南朋、堤真一、西島秀俊、豊川悦司など価値観が揺るがなそうな役者が多いのは気のせいか。15歳前後の年の差婚をする俳優が多い──ということも、ひとつの特徴として見えてくる。
「彼らのお相手は、元女優やスタイリストといった業界に近しい人。芸能人、役者という職業に理解がある女性ともなれば、当然、近い業界の人になる。ついでに『芸能人なんだから、スキャンダルなどの“何かがある”可能性もある』ということをふまえられる女性」(渡邉さん)
また、いつの時代も「経済力があるほうが年の差婚の年上になる傾向がある」とは、前出の山下さん。そのうえで、前時代的な男性優位から“年の差婚の年上女性”が増えている点に言及する。
「それだけ女性がお金を稼ぐことができる時代になった、ということも言えるのではないか。また、藤あや子、三原じゅん子議員、広田レオナ、千秋、菊地凛子など、個性的かつ自己を確立している人が目立ちます。経済力もあって、自分の世界を持っている。そういった強い女性に若い男性が惹かれるのも、今の時代らしい」(山下さん)
「かつて“年の差婚の年上女性”と言えば、イチロー、松坂大輔などをはじめスポーツ選手が目立っていた。スポーツ以外のマネージメントを委ねるとしたら、年上の才媛が最適だったのでしょう。しかし、そうではない“年の差婚の年上女性”が昨今は確かに増えている」(渡邉さん)