芸人にはうれしくないジンクス
ヒットしたといえば、今年は音楽業界が非常に苦しい年となったが、TikTokなどで人気が拡大した瑛人の「香水」もノミネートされた。
「ステイホームをモチーフにした星野源の『うちで踊ろう』が、さまざまな有名人や一般人にコラボやカバーをされ、人気を獲得しました。その下敷きがあったことも後押しし、『香水』も多くの人にモノマネされ、それが動画やテレビ番組で拡散し人気につながった。2020年ならではのヒットのかたちでしょう」(同関係者)
流行語大賞といえば、その年に流行った芸人のギャグも目玉のひとつだ。近年では「ダメよ〜ダメダメ」('14年)、「ワイルドだろぉ」('12年)、「グ〜!」('08年)、「なんでだろう〜」('03年)などがノミネートされたが、前出のテレビ関係者は、
「顔ぶれを見るとわかりますが、一発屋芸人となってしまうことが多いため、流行語大賞を取ると消えてしまうのではないかという、うれしくないジンクスが生まれてしまいました(笑)」
と、ノミネートはうれしいが、選ばれた芸人はやや複雑な心境になりそうだ。そこで、今回ノミネートされた芸人枠を見てみると、ぺこぱの『時を戻そう』や、ぼる塾の『まあねぇ〜』が、ソレに該当すると言える。
「『第7世代』というくくりでノミネートされるかと思ったのですが、そうではありませんでした。EXITや四千頭身、霜降り明星など第7世代の人気芸人たちには、誰もが知っているフレーズがないからかもしれません。ユーチューバーのフワちゃんのノミネートは、存在そのものが流行したということですね。見ない日はないぐらいの活躍ぶりでした」
ドラマ関連で見ると、大ヒットした『半沢直樹』(TBS系)で香川照之演じる大和田暁の『顔芸/恩返し』が選出されている。
「『おしまいDEATH!』ではなかったですね(笑)。半沢は2013年に『倍返し』で大賞を受賞していますが、視聴率でいうと前作を超えられなかったので、今回は大賞とまではいかないのではないでしょうか」(テレビ関係者)
さらに、今年の流行語ノミネートの大きな特徴は、スポーツ関連の言葉が入っていないということ。前出の記者が分析する。
「本来だったら、今年は東京オリンピック・パラリンピック一色の年だったと思います。コロナの影響ですべてのプロスポーツの中止、そして開幕の遅れ、試合数の縮小、無観客開催など、大きな影響を受けました。さすがにこのような状況では、試合後のインタビューで名言など生まれようがありません。これは仕方がないですね」
流行語のトップテン、大賞の発表は12月1日を予定されている。2020年を象徴する言葉として、いったい何が選ばれるだろうか。
〈取材・文/渋谷恭太郎〉