知らずにトラブル! 実例エピソード

case1 生命保険の受取人が義母のまま
 夫が死亡。遺産はあまりないけれど、独身時代に加入した生命保険があるからなんとかなりそう……と思っていたらショック! なんと死亡保険金の受取人が義母のまま。結婚後、変更するのを忘れていたみたい。毎月やりくりして何十年も保険料を払っていたのは私たち夫婦なのに、保険金はすべて義母のものに。

case2 子どもがいなくて義理の兄弟と大モメ
 DINKSとして仲よく暮らしていた夫婦。夫が亡くなって初めて知ったのは、「子どもがいなくて、親も死亡していたら、兄弟姉妹が法定相続人になる」ということ。義理の兄弟は「相続分はきっちりもらいます」と宣言。遺言書に「妻にすべて渡す」と書いてもらっておけば、兄弟には渡さずにすんだそう。

case3 相続後、亡夫の借金発覚
 夫の死後、無事に遺産相続の手続きを終えてホッとひと息……。ところがその後、夫が莫大な借金をしていたことが発覚! 相続放棄したかったけれど、相続が発生することを知ってから3か月以内に手続きしなきゃダメで、手遅れに。結局、返済のため、遺産を処分するのはもちろん、貯金も取り崩すはめに。

《3つの相続方法を賢く選ぶ》

相続」といえば、預貯金や持ち家などプラスの相続を分け合うイメージが。でも実は、借金などマイナスの財産もあわせて継がなくてはいけない。マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合、「限定承認」「相続放棄」などの方法が。一般的な方法は「すべて継ぐ」か「すべてあきらめるか」を選ぶことに。生前贈与でプラスの財産をあらかじめ移しておくなどができることもある。

1. 単純承認
 故人の権利や義務(プラスの財産やマイナスの財産)をすべて相続すること。手続き後に連帯保証などによる借金が明らかになれば、それも背負う。

2. 限定承認 
 プラスの財産の金額を限度にマイナスの財産も相続するというもの。相続人全員による手続きが必要で手間がかかるため、限定承認が選択されることは少ない。

3. 相続放棄  
 プラスの財産も含め、いっさい相続しない。相続が発生したことを知ってから3か月以内に手続きする必要があるので、マイナスの財産があるなら法定相続人に知らせておく。