アメリカ大統領選で史上最多票数を獲得したジョー・バイデン氏。このままいけば新たなリーダー誕生の見通しだが、トランプ氏の「倍返し」「暴動」が待ち受けるおそれも……。日本や世界はどうなっちゃうの!? パックンこと、パトリック・ハーラン氏に聞いてみた。
バイデンはクセがなく、いたって普通
“トランプ旋風”から4年、今月3日に行われたアメリカ大統領選挙は民主党のジョー・バイデン氏が過去最高の7400万票超を獲得、現職で共和党のドナルド・トランプ氏を激戦の末に破った。バイデン氏は7日夜、初の女性副大統領となるカマラ・ハリス氏とともに演説し「分断するのではなく、団結させる大統領になると誓います」と、勝利を宣言。アメリカ史上最高齢の大統領の誕生だ。
バイデン氏を選んだ民意を、ハーバード大学卒のアメリカ人タレント、パックンはこう解説する。
「今回の選挙はトランプの信任を問うもの。バイデンに投票した人たちは、どうしても彼じゃなきゃダメというわけではなく、とにかくトランプを辞めさせたい。ザ・トランプショーの幕を下ろして、普通の状態に戻りたいんです」
トランプ氏の4年間で、アメリカはどのように変わったのだろうか?
「さまざまな問題が悪化の一途をたどっていきました。なかでも国民の分断は大きい。トランプは1日平均20以上の嘘をつき、それをトランプ支持のメディアはそのまま伝え、批判的に報じるメディアに対してはフェイクニュースだとバッシングする。白人至上主義者をかばい黒人への怒りや不安をあおったり、移民や難民を侵略者と呼んだりして対立を深めさせています」
アメリカ第一主義を掲げるトランプ氏は、地球温暖化対策の国際的な枠組み『パリ協定』や世界保健機関(WHO)から離脱。日本や韓国など、いわゆる同盟国にも、自国から米軍が撤退してほしくなければ駐留費用を大幅に増やすよう容赦なく迫った。
「国際社会でのアメリカの信用を下げ、同盟国を突き放した。コロナに対しても、科学者や専門家の声に耳を傾けず“マスクをつけるからコロナになる”などと大統領みずから誤報を広め感染が広がっていく……。こうした事態に嫌気がさしているんです」
バイデン氏をパックンは「食パンのような政治家」と言い表す。そのココロは?
「クセがなくて、嫌う人も少なくて、身近な存在。実際、バイデンは一般家庭に育って、しゃべり方も一般的でエリートではない。ものすごく弁が立つわけでも、人を熱狂させる存在でもない。いたってノーマル、普通です。政治姿勢もザ・中道。公共サービスの強化、温暖化対策、教育政策に力を入れるはず。共和党の上院議員の抵抗も半端ないでしょうけど」
私生活ではジル夫人(69)と結婚44年目。新たなファーストレディーは教育学者の顔を持つ。
「ジルは日本でいう短大で教えている現役の先生。バイデンが食パンなら、彼女はジャム。お似合いの夫婦です。バイデンにとっては再婚で、彼は1972年に上院に当選した直後、最初の妻と1歳だった子どもを交通事故で亡くしているんです。ジルは、残された2人の息子を男手ひとつで頑張って育てているバイデンに惹かれたとか。
おそらくファーストレディーになっても教師を続けると思いますよ。アメリカでは共稼ぎが大半ですから、その意味でも国民に身近な大統領夫婦と言えそうです」