「選んでもらえてよかった」
しかし、5回TKOでプロ初の黒星を喫してしまう。その後、番組では会うことがなかったビートたけしから、実はアドバイスをもらっていたと明かす。
「ちょうど映画『HANABI』の撮影をしている忙しいときに、たけしさんとお話しする機会をいただいたんです。そのときは開口一番“負けると思ってたよ”と言われちゃって(笑)。
でも、いろいろなお話をしてくださいました。その中でも“役者っていうのは、自分をいろいろなアングルから見られるもんなんだ。見なきゃいけないんだ。そういうことがやれねぇとなぁ”と言われてハッとしたんです。僕は自分を見ることばかり考えていて、後ろから見たら、相手から見たらってことを考えていなかったなって」
たけしからもらったヒントをもとに、練習に取り組んだ。そして’97年12月。3度目の挑戦の末に、世界王座へと輝いたのだった――。
「いいだせんせぇ~」
リングを走り回る子どもたちが声をあげる。
「今は子どもたちに向けて、たけしさんからヒントをもらったビジョントレーニングを教えています。『元テレ』がなかったら、ボクシングの試合でもあんなに頑張れなかったと思うんです。むしろボクシングをやっていない、全然違う人生だったかもしれません。そう考えると『ボクシング予備校』に選んでもらえてよかったなと思いますね」
飯田の人生を、たった1つの番組が大きく変えた。