男性には興味がないと思っていた
その疑問を、そのまま母親にぶつけてみた。
「それはないと思います。お姉ちゃんは何度かお見合いさせましたけど、あの子は目が不憫なので、一生、家に置いて、私が面倒を見ていこうと。だから、1度も見合いはさせなかったし、“結婚しなさい”とも言わなかった。
男性を家に連れてくることもなく、交際の話も聞いたことがない。テレビのタレントも関心がなく、男性には興味がないと思っていました」
夜は7、8時には必ず帰宅。夜遊びもなかったという。ただ、土日は出かけていたとか。
「それはひとりで買い物にね。友達が少ない子で、外に誰かと出かけること自体ないんです。趣味といえば、せいぜい家で読書するくらい。
倹約家で、お金を散財することもなかったし、親にまとまった金を要求する子でもなかったですし……」
80歳目前の母親は最後、悪い腰とやつれた顔で、弱々しくこうつぶやくのみ。
「できる限りの償いをしていくしかないです。主人が残してくれた財産と、この家を売って、それからあの子のために蓄えた貯金で……」
3月に解雇された後も、別の会社では普段どおりに働いていたという金子容疑者。
次に老母と顔を合わせたときに、初めての金の無心をするのだろうか。