■やってはいけないNG行動

□繰り上げ返済 
 先々の支払いを心配して、「払えるときに払っておこう」となりがちだが「住宅ローンは減るけれど、家計が苦しくなるという状況に陥ってしまう人は多い。今は住宅ローンの金利が低いので、繰り上げ返済をするより、借り換えをしたほうがよっぽどお得です」

□滞納 
 何もせず滞納し続けるとローン破綻まっしぐら。「払えないと思ったら、まず“今月払えないけど、どうすればいいか”と金融機関に相談すること。早めに相談することで、返済の条件変更など、ローン破綻せず、自宅を守る方法が見つかるはずです」

□住宅ローン返済のためのキャッシング
「住宅ローンを返そうと思って、クレジットカードのキャッシング枠を使ったり、新たなローンを組むのはいちばんダメ。1~3%台の金利の住宅ローンを埋めるために、高金利の借金をすると、ローン地獄に陥って、お金があっという間になくなりますよ!」

【CASE 3】いよいよ支払いに困ったとき 

■任意売却する

 任意売却は、売却しても住宅ローンが残ってしまう住宅に対し、債権者(金融機関)の合意を得て売却する方法。通常の不動産売買と同様の販売方法が取られるため、市場価格と同等の価格での売却が期待できる。一方、競売になってしまうと、競売情報サイトに自宅が競売物件として掲載されるだけでなく、オークションで市場価格より低く落札されることが多い。

 ローンの滞納が続いてしまった場合は、競売で家を失う前に自ら自宅の売却を申し出る「任意売却」の選択を。「競売に比べて、メリットが多いです。例えば、任意売却で家を手放した場合、引っ越し代など手元資金を用意してくれることも。さらに、“リースバック”という仕組みを併用し、買い主との交渉で賃貸としてそのまま住み続けることも可能です」。滞納が6か月続くと競売の手続きに入ってしまうので、その前に金融機関に相談を。

(取材・文/河端直子) 


山口京子さん ◎ファイナンシャルプランナー。証券外務員、保険募集人資格も持ち、ワンストップで、楽しく“くらしとお金”をレベルアップさせるアドバイスを行う。著書に『なまけものが得をする ワンコインつみたて投資術』ほか