後ろをついていく
前しか見ていない

――ドラマでの追われる者(渡辺)、追う者(豊川)の立場は、役者としても同じでは?

豊川 そのとおりです。次に謙さんが何をしてくれるのかなって、背中を見て行きます。

渡辺 いやいや、すぐこけますから(笑)。

豊川 でも、確実に道を切り開いてくれるから、後ろから追うほうは、やりやすい。
 
 60代になった謙さんが、どういうふうな球を投げてくれるのか楽しみ。それに負けないように、きっちり距離を詰めながら、ついていきたいと思います。

渡辺 いやぁ、いかに遅い球を速く見せるかだよ(笑)。肉体的なことは、確実に下がっていくので、いろんなもので補ったり、逆にそれを隠さないところも上手にあがいていかないとダメ。ただ、あがいているのではなく、ちゃんとあがかないといけないし、そういうところは自分がやらないといけないところだという気がします。

(追われる者として)後ろは見ていない、前しか見ていない。(背中を)見られていても、余裕はないわけ。前を向いて、今やらなければならないことに集中していくしかない。いままでもそうだし、これからもそう。後輩がいろんな道に挑戦して、面白がってくれればいい、とは思っています。でも、それを“俺についてこい!”というよりは“とにかく俺は行くから、後はみんなよろしくな!”っていう感じですよ。

――逃亡者VS追跡者の心情を「執念深い」と表現。ご自身の執念とは?

渡辺 ドラマ、映画、舞台、仕事に関しては、執念深いと思います。そうでないと生き残れないんじゃないかな。

豊川 そうですよね。こだわりですよね。こだわりのためには波風が立つときもあるし、でもそれを恐れずに、こだわっていくところは妥協しないのが大事じゃないかな。
 
 今回の現場でも謙さんが、そういう部分をやっていられたので、それを見て刺激になりました。