増税などで家計負担が増える可能性
経済の悪化は感染者数増加と同じくらい深刻な問題だ。
「本当なら経済も感染も両方一緒に考えなくてはならない。なのに政府は“Go To”ばかりに目を向けているのでおかしなことになっているんです。今のままだと感染防止対策も経済の立て直しも両方とも立ち行かなくなりますよ」
と荻原さんは厳しく指摘。
給与が減ることが目に見えているが、それに追い打ちをかけるのが増税の可能性だ。
「内閣の支持率も下がってるので、消費税を上げることはないでしょう。ですが、ほかの形での増税はありえます」(荻原さん)
例えばコロナ禍でこうむった損失を補填するため『コロナ復興税』というような新たな税制の導入も考えられる。
ほかにも所得税を少しずつ引き上げる、社会保険料を上げるなど、家計負担は増えていくとみられる。
現金を確保、新しいローンは組まない
生活防衛のための方策を荻原さんがアドバイス。
「先が見えないため、まずは現金を確保すること。高額な買い物をしない、新しいローンを組まないなどして貯蓄を増やすことが大切です。感染拡大を受け、マスクやトイレットペーパーの不足を再び心配する人もいるかもしれません。でも買いだめしたり、ドラッグストアに並ぶ必要はありません。余計なお金は使わないことです」
この悪夢のような状況下で希望となるのがワクチンの開発、実用化や集団免疫がつくことだ。猛威がおさまるまで、なんとしても耐えて生き延びるしかない。このお正月は昨年までと違うと認識することが重要だという。
「家庭内感染を防ぐため、鍋やおせち料理は事前に取り分けて提供してもいいと思います。離れて暮らす家族や親戚への新年の挨拶はリモートを利用。接触しないことは感染の対策になります」(同)
いつもの年末年始の風景とは変わってしまうが、これが命を守るための行動。前出の田中医師は訴える。
「“マスクの着用”“手洗いの徹底”“3密を避ける”は個人ができる効果的な感染防止策です。粘り強く取り組んでいきましょう」
■感染・生活危難 8つの備え
(1)自宅のインターネット環境を整える
(2)ネットスーパーや通販サイトなどに登録する
(3)外食は少人数で。屋外にも席があるなど、なるべく換気のいい店を選ぶ
(4)風邪薬、痛み止めなどの常備薬をストックしておく(基礎疾患がある人は医師と相談)
(5)オンライン診療ができる病院をあらかじめ探しておく
(6)ネットバンクを開設しておく
(7)ブランド品など高額な買い物や余計な買いだめは控える
(8)新たなローンは組まない
内科医・田中雅之さん KARADA内科クリニック勤務。東北大学大学院で医学研究にも従事。日本感染症学会専門医「患者様のニーズや不安を受け止め、ともに考え、診療を進めたいと心がけています」
医学ジャーナリスト・植田美津恵さん 医学博士。愛知医科大学客員教授、東京通信大学准教授。専門は公衆衛生学、医療制度など。各大学で教壇に立つほか、医学番組の監修、講演活動をこなす。 著書も多数。
経済ジャーナリスト・荻原博子さん 家計経済をはじめ、市民目線のわかりやすい解説でマネーに関する幅広い分野で活躍。コメンテーターや解説者としてテレビやラジオなど出演するほか著書も多数。