命がけで相手を刺しても何も変わらない
ホス狂となって2年目の昨年5月、ホストが客に刺された事件がきっかけで目が覚めたのだという。
「私が犯人になっていたかもしれない、って思いました。そうしたら両親の顔が浮かんで急に申し訳ない気持ちになったんです。それで担当にその話をしたらヘラヘラしながら“刺されたホスト、不細工だったよなー”とか言っているのを聞いて、こんな男に数千万円以上も貢いでいたことに夢を感じなくなりました。
刺されたホスト本人も事件を連想させるようなネタで営業しているし、何よりホストを辞めていない。命がけで相手を刺しても、何も変わらないんだと空しくなったんです」
最初は甘い言葉で“釣って”いたホストも、
「もう私が離れないと安心しきっていて、私への扱いが雑になってきた矢先に起きた事件で。もう通えないことを伝えると、最初は営業をかけてきたけど最終的には“借りた金返してネ”とクソふざけたLINEが来て完全に冷めた」
それでも借金残高は2000万円近くある。
「毎日、身体売って病気のリスクや恐怖と闘って、ってやってるうちに死にたくなっちゃうんです。そういうときに、ふらっとこのビルに」
彼女の話がすべて本当かはわからない。けれど、彼女がホストによって心を傷つけられたことは確かな気がした。
「ホス狂になって3年もつ人はあまりいませんね。身体を売っても足りなくて臓器を売ったなんて都市伝説もあります。だいたい2年周期くらいで入れ替わってしまうので先を知りようがないんです」
と、前出の渋井さん。
「私の知っている嬢で、身体が売れなくなってホームレスに1回50円で身体を売る子もいました。
だいたいホス狂になる子たちは知らない間にドリンクに覚せい剤を混ぜられていたり、ホストとの性行為の際に打たれたりと依存状態を作らされています。残念ながら、ホス狂になって生還するのは物理的には可能かもしれませんが、精神的には不可能といえます」
坂口杏里はSOSを出せるぶん、安全なのかも。