ちなみに、波平の双子の兄である海平と妹のなぎえは、被相続人の直系卑属や直系尊属がいない場合、またはいたとしても権利を失っている場合、相続権を獲得できる。

「ひと昔前は、ほとんどの家庭に子どもや孫がたくさんいたため、兄弟姉妹に相続の権利が回ってくるケースは多くありませんでした。ですが、近年は晩婚化や少子化が影響し、兄弟姉妹が相続人になるケースが増えています」

妻のフネは、相続の割合や住まい、税金面で優遇される

 民放では、誰が相続するかだけでなく、それぞれがどれだけもらえるかという、受け継ぐ相続財産の割合(相続分)も定められている。

「『法定相続分』といいますが、その割合は相続人の組み合わせによって異なります。基本的なパターンは、(1)配偶者と子どもが相続人になる場合(2)配偶者と父母または祖父母が相続人になる場合(3)配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合の3つとなります」

 それぞれの相続分については、下図でチェック!(外部配信先で画像が削除されている場合は関連画像リンク先または週刊女性PRIMEの元記事で確認できます)

※半血兄弟姉妹 父母の一方だけを同じくする、いわゆる異父(異母)兄弟姉妹
※半血兄弟姉妹 父母の一方だけを同じくする、いわゆる異父(異母)兄弟姉妹
【関連画像】(1)相続人の順位(2)相続人の割合(3)手続きの流れ(4)生命保険の受取人

 どのパターンでもフネの割合がいちばん大きいのは、相続において、配偶者には特別な配慮がされているからである。

「配偶者は、相続開始のときに相続財産である建物に居住していた場合、遺産分割が終了するまでの期間、無償でその居住建物を使用することが可能です。また、2018年7月の相続法改正により、配偶者が居住する建物は、終身または一定期間、使用を認める居住権(配偶者居住権)を、遺産分割で取得することができるようになりました。これにより、遺産分割の結果、建物の所有権を配偶者が持たなくても、居住権により、そのまま生涯、住み続けることができます」

 さらに配偶者は、相続税の申告においても優遇される。

「配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、(1)1億6千万円(2)配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税はかかりません」

波平にまさかの借金が! 相続は一体どうなる?

 相続で受け継ぐ財産は、現金や預貯金、不動産などのプラス財産だけとは限らない。

「借金や買掛金、未払いの税金、被相続人の医療費や入院費、住宅ローンなどの『債務』も、相続財産に含まれます」

 もし波平に生前、抱えた借金があった場合、フネとサザエ、カツオ、ワカメは、当然その借金も受け継ぐことになる。