とくに60代以上の高齢者の中には「情報源はテレビだけ」というケースも少なくない。
スマホやパソコンを使う人は主流でなく、ネットの情報をいっさい目にしない高齢者もいる。
そして新聞も、テレビ欄を見るくらいで中の記事を精読する高齢者は少数派だろう。
高齢者が「コロナへの恐怖心」からテレビを見ると、そこでは自ら共感できる内容を放送している。
こうして歪んだ共感力によってコロナをあおったテレビ番組は高い視聴率を獲得していったのである。その番組内容や出演者のコメントなどがネットニュースでも数多く取り上げられた。
ネットユーザーはそうしたテレビ番組の視聴者のように高齢者が多数ではない。
自らネットで、さまざまな視点からの情報を集めているケースも多い(その情報の正確性や、集めるユーザーの視点が正しいかどうかは別として、である)。
ネットユーザーから見ると高齢者向け番組の内容は、「情報へのアクセス力が弱い高齢者に対して」「いたずらにコロナの恐怖をあおっている」ように見えてしまう。
テレビを見ない人が高齢者向け番組に反発
そしてそのような内容を放送する番組とテレビ局に対して反発を覚える。同時にそのような内容を「テレビがそう言っていたから……」と“鵜呑み”にしてしまう視聴者=高齢者層に対してもネガティブな感情を持ってしまうのである。
コロナ禍で会社の業績が落ちて給料が減った人、さらに仕事を失った人もいる。
感染を避けるためにマスクをして、混雑している電車に乗って仕事にいく。
「コロナとどのように共存して、生活を成り立たせるのか」
朝の時間帯にテレビを見ない人が、高齢者向け番組の内容をネットで知り反発する。
一方の高齢者はネットを見ないので、自分たちがネットユーザーにどのように思われているかを知ることはない。
このように昨年来の「コロナバブル」は、高齢者向けの番組にとっては高視聴率という“成果”をもたらしたが、一方で番組を見ない層との間に「分断」を引き起こしたのだ。