そもそも、コロナは再感染するのか。感染症に詳しい、『とうきょうスカイツリー駅前内科』院長で医学博士の金子俊之先生に話を聞くと、

体内で中和抗体が存在していれば再感染する可能性は極めて低いと思われます。しかし、この中和抗体がどれくらい持続するかには諸説あります。昨年11月の横浜市立大の報告では、少なくとも半年程度は“中和抗体”が持続することがわかっております」

 昨年12月2日付けの『朝日新聞デジタル』では横浜市立大の研究チームが発表した《新型コロナウイルスに感染した人の体内に感染から半年後の時点で、感染を防ぐはたらきがある「中和抗体」が残っている》との研究結果を掲載している。

 今年1月にも『ロイター通信』が、イングランド公衆衛生庁が示した《免疫が少なくとも5カ月続く可能性が高い》《回復後も抗体と共にウイルスがなお体内に存在している可能性》との研究結果を伝え、それでも《再感染や、他人を感染させるリスクは引き続き存在する》と警告した。

再感染で死亡したケースも

 また、世界各国で「再感染で重症化する」との指摘も見受けられる。

確かに再感染で重症化したケースが報告されております。しかし、やはり再感染はまれな報告であり、中和抗体が存在していれば再感染は防げる可能性が高いという見方が大半です。

 また再感染のケースに関して、本当に再感染したのか? もしくは初期感染が寛解に至っておらず、体内に残ったウイルスが再び増殖したものなのかを判断するのはとてもむずかしいと思われます。いずれにせよ再感染するのか? 重症化するのか? は今後の経過を注視していく必要があると思います」

 今なお、未知の部分が多いウイルスだけに「再感染が重症化させる」とははっきりとは言えないようだ。しかし、オランダの89歳の女性は最初の感染では発熱と咳のみだったものの、再感染で呼吸困難に陥り死亡したケースがあるのも事実だ。

 では、現在、国内でも検出され始めている、より感染力が高いとされる「変異ウイルス」に対しては従来の抗体は有効なのだろうか。

今後大きく変異したウイルスに関しては、有効性が乏しい可能性があります。しかし、現在の変異種に関しては既存の『ファイザー』や『モデルナ』のワクチンでも有効性が確認されております。したがって、実際に感染して中和抗体が誘導されているケースでも、同様に変異種にも効果があり再感染を防げる可能性が高いと思われます」

 政府はアメリカの『ファイザー』社のワクチンを2月中旬に承認、下旬にも医療従事者から接種を開始する準備を進めている。3月下旬ごろからは、67歳の石田も該当する65歳以上の高齢者への接種も見込まれるが、こちらはずれ込む可能性もでてきた。

 石田が最初に感染したのは昨年4月で、すでに9か月が経過している。妻と幼い子どものためにも今1度、自身の行動を見直してはどうだろうか。