入れ替わりはギャップが大事!?
そんなギャップを最大限に生かしたのが、児童相談所の職員(松田翔太)とヤクザの組長(高橋克実)が入れ替わった『ドン・キホーテ』('11年/日本テレビ系)。
「虐待をやめない親、非行をやめない悪ガキ、頭の固いお役所、窮地に陥った子どもたちなどさまざまな問題を2人で解決していく痛快エンターテイメントに仕上がっています。なぜか親分(入れ替わり後の松田翔太)がみんなのヒーローとなっていくさまが面白かった。入れ替わりドラマに無限の可能性を感じました」
奇想天外な入れ替わりをしたのは、宮藤官九郎脚本の『ぼくの魔法使い』('03年/日本テレビ系)。超ラブラブな夫婦(伊藤英明・篠原涼子)がアクシデントをきっかけに何かを思い出そうとするとおじさん(古田新太)に変身するように。
「篠原さんはこの後、『光とともに…』で自閉症の子どもを持つ親を好演。コメディーからの脱却に成功しました。翌年には『anego』(いずれも日本テレビ系)が大ヒット。一躍主演女優に。宮藤官九郎さんは'06年にも斉藤由貴さん主演の『吾輩は主婦である』(TBS系)で、主婦が夏目漱石の魂と入れ替わるという昼ドラを描いています。ギャラクシー賞を受賞するなど隠れた名作です!」
おじさんと若い女性が入れ替わったのは、石原さとみ・船越英一郎主演の『椿山課長の七日間』('09年/テレビ朝日系)も。
「46歳で脳出血のため過労死した百貨店の課長・椿山(船越)は現世に強い未練を残し初七日が終わるまでの間だけ美女の姿で現世に逆走されるというファンタジー。映画版だと西田敏行さんと伊東美咲さんで大ヒットしました」
土屋太鳳と田中美佐子の親子が入れ替わったのは、『今夜は心だけ抱いて』('14年/NHK)。
「母娘が互いの人生を体験し向き合っていく姿を描きました。太鳳ちゃんのお相手役は中川大志くん。田中さんが制作発表時に“入れ替わりの役はやってみたかった”と目をキラキラさせていました」
父と息子が入れ替わっちゃたのは、遠藤憲一と菅田将暉主演の『民王』('15年/テレビ朝日系)。原作は池井戸潤で、ひょんなことから総理大臣の武藤泰山(遠藤)と息子で大学生の翔(菅田)が入れ替わってしまう。
「なんといってもコワモテ総理大臣とおバカ大学生という最大のギャップ! 主演2人の振り切った演技が抜群でした。政治にまったく興味のない翔が国会答弁に苦労する様子や、泰山が就職活動で面接官を偉そうに論破してしまうシーンなどは爆笑もの。また、高橋一生さんが演じた総理大臣のクールな秘書・貝原役が人気でスピンオフ作品も生まれ、出世作となりました」
のちに自らが入れ替わり役者となるのだから面白い。
「入れ替わりに主演した俳優さんって必ず売れるんですよね。それは振り幅の大きい演技ができるからだと思います」(同)
綾瀬・高橋ともにもう十分売れっ子だが、さらなる飛躍が期待できる!?