「黒岩知事や森田知事も月額給与のカットを決めました。2人とも自分の働きが悪いと自覚しているからでしょう。すぐ隣の東京都の小池知事は神奈川・千葉の半分の月額給与ですから、マズイぞと……」

 ジャーナリストの大谷昭宏さんは指摘する。

 だが、各都道府県の知事給与の月額については「現状で妥当の金額だと思います」とし、理由をこう説明する。

給与に見合った仕事をしているかどうか

知事の給与は大企業の経営者に比べるとずっと少ない。知事たちの背負う社会的な責任、休みなく働く労働環境はずっと厳しい。知事にも労働に見合った対価を払うのは当然のことです」(大谷さん、以下同)

 知事給与が極端に低い金額になると“これくらいの金額ならこの程度でいいか”と手を抜かれることも考えられる。

「ある市では市長の給与を中堅サラリーマンの月給ほどに削減しました。すると、今回のコロナ対応では県の足を引っ張ってばかりで……」

 大谷さんはため息をつく。

「高い給与を支払うということは“これだけもらっているからしっかり働けよ”と言える権利。税金を払う私たちが雇用主として知事を働かせている、と考えてください」

 だからこそ仕事ぶりが見えなければ、私たちが不満をもつのもしかたがない。

 大谷さんは知事に限らず700人いる国会議員の給与額についても言及する。

「通常の国会議員の歳費(給与)は月約130万円。知事は災害が発生してもすぐに対応できるよう24時間待機し、このコロナ禍でも連日のように対応を協議、各都道府県の先頭に立っています」

 ほとんどの知事が国会議員より月給はもらっていない。

「このコロナ禍で国会議員たちはどれだけの仕事をしているのでしょうか?」

 自民党、公明党の議員が緊急事態宣言下の夜8時以降に銀座のクラブを訪問し、問題になっていたが……。国会中継でいつも寝ている議員だって多い。彼らの給与も税金だ。

 冒頭の看護師はこう話す。

「国民が政治家の仕事ぶりを判断して、給与額を見直すシステムがあってもいいんじゃないかな。県民がもっと目を厳しくすれば、みんなまじめに仕事をするんじゃない?」

 私たちの財布から払われる知事の給料。その期待値は1か月の給与よりももっと高いことを忘れないでほしい。