誰にでもまっすぐな石橋

 放送作家の海老原靖芳氏も「貴明は誰にでもまっすぐだった」と振り返る。'83年のある日、自宅に電話をかけてきた石橋の悲壮な声を、よく覚えているという。

「開口一番、貴明が“エビさん、助けてください!”と」

 所属事務所に内緒で仕事を受けたことがバレて無期限謹慎を食らった、というのだ。テレビへの出演も白紙に。そこで、お笑いライブを開催して芸を磨きたい、という。

「ついては僕に“コント台本と演出をお願いしたいんです”と。それも“ノーギャラで”って(苦笑)」(海老原氏)

 ぶしつけな依頼にも聞こえるが、それが石橋らしさだという。

貴明の言葉って、彼の実直さが伝わってくるんです。笑いにかける熱が電話越しに伝わってくるというか。胸にスッと入ってきた。それで引き受けたんです」(海老原氏)

 渋谷の小さなライブハウスで行われた単独ライブは大成功。その後、とんねるずは飛ぶ鳥を落とす勢いでテレビ界を席巻していくのだが、この話には続きがある。