視聴率がひと桁台と苦戦が続く冬ドラマが多い中、初回から11・4%を記録し、常にふた桁台をキープし好調なのが『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)。玉森裕太演じる癒し系の“‘子犬系男子”や、間宮祥太朗演じるドS系の“ツンデレ先輩”にメロメロになる女性が急増中だ。『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)。

 そんな“ボス恋”に続けとばかりに、4月クールには石原さとみ&綾野剛出演の『恋はDeePに』(日テレ系)、北川景子&永山瑛太出演の『リコカツ』(TBS系)、鈴木亮平&吉岡里帆出演の『レンアイ漫画家』(フジ系)など恋愛ドラマが多数ラインナップ。

 刑事ものや医療ものばかりだった昨今のドラマ界の中で、盛り上がりをみせている。

「最新型の恋愛ドラマの傾向は、男性はすごくキャラクターがはっきりしている。例えば、2020年の『恋は続くよどこまでも』(TBS系)では、佐藤健さんが大魔王と呼ばれるカリスマドS医師に。同年の『私たちはどうかしている』(日テレ系)では、横浜流星さんがカリスマ菓子職人に。同じく『この恋あたためますか』(TBS系)では、中村倫也さんがドSでクールな社長と、男性はみんな属性がツンデレなんです。

 そして、ヒロインはちょっと冴えなかったり、どん底の日常を過ごしていたりして、そこに男性が王子さま的に現れ、頭ポンとかあごクイとか、もし手元に“キュンです”ボタンがあれば“キター!”と言いながら連打しちゃうようなシチュエーションを展開。すごく少女漫画的と言いますか、恋愛ドラマが1周回ってベタに戻り、萌えポイントがはっきりしている“キュンドラマ”がいま好まれているんだと思います」

 こう語るのは、30年以上もドラマに関する作品を発表する漫画家で、ドラマウォッチャーのカトリーヌあやこさん。ドラマの制作側も、いかにSNSでトレンド入りをさせるかを意識した作りに変化しているという。活気を取り戻し始めた昨今の恋愛ドラマ。その創成期をたどってみると、1980年代後半に始まったと話す。

恋ドラの元祖はトレンディドラマ

「トレンディドラマが始まったのは1988年くらいから。それまでは、ホームドラマだったり、不良の学園モノの中に恋愛要素が含まれているような作品が多く、若い男女の恋愛を主軸にしたものがほとんどなかったんです。恋愛だけをターゲットにした作品が出来はじめたのがトレンディドラマから。

 浅野温子&ゆう子のW浅野が話題となった1988年の『抱きしめたい!』(フジ系)シリーズが象徴的でしたね。ほかにも、タイトルバックだけのために海外の真っ白なビーチに行って撮影してた作品なんかもあったりして、さすがはバブル、どれだけ予算があったんだと(笑)。ものすごくキラキラした美男美女が、おしゃれな空間でキャッキャしているのを私たちがただ眺める。憧れの目線で描かれたのがトレンディドラマでした」(カトリーヌさん、以下同)

『抱きしめたい!』は1989年以降、3度もスペシャルドラマ化され大ヒット。中山美穂らが出演した『君の瞳に恋してる!』(1989年)、浅野ゆう子主演の『ハートに火をつけて!』(1989年)などフジの作品も人気に。そして1990年代に入り、恋愛ドラマは黄金期に突入する。