フジテレビは、4月改編説明会において、『ダウンタウンなう』の3月での放送終了を発表した。理由のひとつとして、人気企画の「本音でハシゴ酒」が、コロナ禍でのロケが難しくなったことをあげた。
テレビ朝日もマツコ・デラックスのロケ番組『夜の巷を徘徊しない』の3月での終了を発表。こちらもコロナ禍によりロケが厳しくなったことが終了のきっかけのひとつとしている。
「コロナ禍以降はロケができなくなったことで、過去の“徘徊”VTRをマツコとともに振り返ったり、スタジオ内での企画を放送するなど、番組名も当初の『夜の巷を徘徊する』から“しない”に変更しました。でも先の見えない状況が続き、このスタイルでの番組継続は難しいという判断だったと思います」
と、ある芸能記者は語る。
感染対策を見せる撮り方
「『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)や高田純二さんの『じゅん散歩』(テレビ朝日系)、『有吉くんの正直さんぽ』(フジテレビ系)、徳光和夫さんらの『路線バスで寄り道の旅』(テレビ朝日系)など、感染対策を行ったうえで従来に近いスタイルで放送しているロケ番組もたくさんあります。
しかし『ダウンタウンなう』は飲み屋さん、『夜の巷を〜』も、飲食店をはじめ、夜に営業している店舗や会社を訪問したり、街を歩いている人に話しかけることが番組の核となっていました。どんなに感染対策をしているといっても、昼ロケの番組に比べると、視聴者に余計な不安、さらには非難につながることも考えての決断だと思います」(同前)
夜の街ロケというと、所ジョージが司会を務める『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)で、居酒屋などで盛り上がる一般人の輪にタレントが入る人気企画「朝までハシゴの旅」も、同様に新作ロケは厳しいと思われるが……。
「この番組には『ダーツの旅』など、ほかの人気企画がたくさんあるので、あまり影響はないでしょう。過去のVTRなども交えながらうまく構成していると思います」
と、前出の芸能記者。
一方、バラエティーや情報番組の構成を手がけるある放送作家は、「そもそも夜のロケ自体は“絵”が暗くなるので、業界的には作りにくく、そういう番組はあまりないんです」という。
「あえて夜にロケをするとなると、頼るのはどうしてもイルミネーションや飲み屋になります。でもコロナの影響で時短営業や自粛となって、そこだけに頼ることがいかに難しいかというのがわかった。極端にいえばそれが全てだったマツコさんの番組の継続は、今後の見通しがつかず明らかに厳しかったと思います」
夜の街ロケに限らず、再開されているロケ番組も、以前とは異なる部分もみられるようになった。フェイスシールドの装着は“当たり前”となり、マスクをして店員とやりとりするスタイルが増え、テレビ側も感染対策に配慮していることを、“きちんと見せる撮り方”を意識しているようだ。
「局の基準によりますが、商店街での食べ歩きや、店に入っていく場面もほとんど見られなくなり、入店した状態でスタートするようなものが増えています。高齢者層の多い商店街ではリスクを考慮して、ロケはあまり行わない流れです。いずれにせよ国の指針に従ってその都度、撮り方を考えていくということになります」
『ダウンタウンなう』の後番組には、番組内の人気トーク企画だった『酒のツマミになる話』が、松本人志の番組として独立して4月から放送されることが決まっている。『夜の巷を〜』の枠にはマツコ・デラックスではなく、かまいたちの関東地区初の冠番組となる『かまいガチ』が放送される。
首都圏の1都3県では現在も緊急事態宣言が継続中だが、これが解除されたからといって「飲み歩き」や「夜のお店訪問」の番組をすぐに放送するわけにはいかない。「不謹慎だ!」という指摘なく、夜の徘徊番組を楽しむ日は再び来るのだろうかーー。
〈取材・文/渋谷恭太郎〉