また、今回の行啓では、これまで訪れたことのない陸前高田市もご視察。両陛下と対話した商工会会長の伊東孝さん(67)が振り返る。
「'11年に両陛下が岩手県大船渡市までヘリコプターで移動した際、上空から陸前高田市をご覧になり“惨憺たる思いをした”とおっしゃっていました。私が“生業の再生”についてご説明すると“まちづくりを進めるうえで、いつごろから活気が生まれましたか?”と、雅子さまから質問がありました。1人5分の持ち時間だったのですが、宮内庁のご担当者から“お話は尽きないようですが”と言われても、“あとひとつ”と追加で質問もされていました」
目線を合わせて語りかけるお姿は美智子さま流
雅子さまの積極的な姿勢と“慈愛”に心打たれたと話すのは津波避難の大切さを呼びかける絵本を出版した淺沼ミキ子さん(57)。
「柔和な笑顔でまっすぐ見つめてくださいました。画面越しではありましたが、雅子さまが身を乗り出しながら大きく頷いて話を聞いてくださっていたことが強く印象に残っています」
淺沼さんによると、両陛下が気遣われたのは被災者に対してだけではなかったそう。
「“大変な思いをされましたね”と真っ先にお声がけしてくださったのですが、いま生きている私たちに対してだけでなく故人に思いを伝えてくださっているように感じました。両陛下に気にかけていただいている感謝と幸せな思いをもって“改めてここからだな”と、新たなスタート地点に立てたことを実感しています」
両陛下と懇談した被災者3人が口々に話すように、オンラインでも雅子さまの励ましが強く感じられたという。
「雅子さまは被災者と顔を合わせることを大切にしていらっしゃいます。オンラインで被災者を見舞われる形式だとしても、目線を合わせてお話しになるということは美智子さまが被災地で視察していたご様子をお手本にしていらっしゃるのでしょう。オンラインを活用した“令和流”になろうとも、そのお気持ちは変わらないと思います」(渡邉さん)
今回の岩手県に続き、近いうちに宮城県や福島県へのオンライン行啓が検討されているという。
“令和の国母”の奮励が、被災地の復興を後押しすることだろう─。