Aさん:質問いいですか? あ、質問いいですか?
相談係:はい
Aさん:んーと、一応そのごめんなさい、NPO法人の人は、住所がなくても住民票がどっかにあっても、そこにいる場所で申請はできるって言われたんです。
相談係:あ、そうそうそう。
Aさん:却下になる可能性があるということは、生活費を超えるってことですか?
相談係:今住むところがないってことは、住む家賃がかかってないんだから。
Aさん:でも、今日から9万円引かれてるわけで……ここの最低生活費っていくらですか?
相談係:生活費だけでいうと、7万5000円。もしできるんだったら、敷金礼金がかからない物件を見つけて、それが例えば神奈川なのか東京なのかわからないけど、その住所のあるところで手続きをするのがいいのかなと。もしアパートとか見つけられないというのなら、宿泊所というところ? この辺だと中区の寿町というところにたくさんあるんだけど、そこに住民票を移して手続きをすると。それだと住んでいるところがあるから手続きできます。
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この会話に至っては、相談係は既に自己矛盾を起こしています。
「住所がなくても、住民票がなくても今いる場所で申請できると聞いている」と言うAさんに同意しておきながら、文字どおり、舌の根も乾かぬうちに簡易宿泊所等に住民票設定しないと生活保護の申請ができないと説明しています。その後、困り果てたAさんの声がテープには残されていて胸が痛みました。
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Aさん:じゃあ、今は申請はできなくて却下されるというわけですか?
相談係:申請自体はできるけれど、したとしてもメリットあんまりなくなっちゃうから。家を見つけて来た状態でしたほうが確実なんじゃないかなと。
Aさん:う―――ん。
相談係:敷金とか礼金とか初期費用がかかるところが多いんだけど、それがかからないところをさがして。
Aさん:私、保証人を立てられないので、いろいろ探してたんですけど、まぁ、9万円じゃあ難しかったんです。しかも、なくなった段階でお金が引かれてしまったら7万円もないと思うんですけど、どうしようかなぁ……。うううん、うううううん……。困るなぁ……でも、申請はできるんですよね。
相談係:申請はしたとしても、住むところがない状態だと(音声不明瞭)
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怒りしか湧きません。みなさんもちょっと考えてみてください。家がなく、手持ちのお金が9万円で、月末には2万円引き落とされることがわかっている。現在無職。頼る人は誰もいない。生活保護も拒まれ続けていて利用できていない。
このような状況の人に部屋を貸してくれる不動産屋が、大家さんが、いますか?
相談係は盛んに敷金礼金がかからない部屋と言っていますが、一般的にゼロゼロ物件と呼ばれるその手のアパートは、のちのちトラブルになりがち。だから福祉事務所も生活保護利用者のアパート転宅時には、どこの自治体も「ゼロゼロ物件は避けてね」と常々言っています。
これほどまでにゼロゼロ物件を熱烈に推してくる自治体も珍しい。少なくともこれから保護し、生活再建を助けようとする立場の人間が言う言葉ではありません。