Aさん:その資料あります? 横浜市はホームレスだと申請できません、みたいな。

相談係:ううん、申請はできるんだけど、申請しても生活保護を受けれるか受けれないかは別問題ですよと。

Aさん:ううううううん、でも家がないから……。申請の紙ってもらっていいんですか? 一応、コピーして申請書を書いて持って来たんですけど。

相談係:申請の紙は、お申込みのときにおわたしするので、前もっておわたしするということはしてないです。

Aさん:ううううん。どうしようっかなぁ。

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 Aさんはとても聡明な方で、相談係の説明の裏付けとなるものを入手しようと、混乱するなかで頑張ります。不安と失望のなかで弱ってきたAさん、その一方で、相談係の方は迷いも消えたような違法行為を繰り返します。

 ここでの発言の問題点は、申請用紙を持参したにも関わらず、それを受け取らなかったこと。とても悪質な水際作戦です。申請は、その意思が確認できるものであればフォーマットは何でもよく、それこそ広告の裏に「生活保護を申請します。●月●日 神奈川花子」と書いたものでも有効なんです。

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相談係:アパートとか見つけられないというんだったら、簡易宿泊所をご案内しますけど、どこに泊まるかは自分で探してもらわないと。

Aさん:ちょっと私も頭がアレなんで、もう一回、弁護士とNPOの人に話してみます。

相談係:勘違いしてほしくないのは、申請自体を受けないってことじゃないよってことです。

Aさん:でも、申請のこの紙出しても受け取ってくれないんですよね。

相談係:申請自体はできるけど、だからといって生活保護になるかどうかは別だよって。

Aさん:でもなかなかこんな感じで、私じゃあ話にならないのでこの紙(しおり)もらっていきます。ありがとうございます。

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 相談係は、Aさんに弁護士と支援団体に相談すると言われ、慌てて「申請自体は受けないってことではない」と言っています。しかしこれまでのやり取りで、何度も申請を希望しているAさんに対し、この相談係は、何度退けてきたと思っているんでしょうか。

 混乱の極みのなかで、Aさんが持参した申請用紙を差し出そうとしたのに受け取らない。鉄壁の守りです。市民の命と生活を守るはずの福祉事務所が、助けを求めてきた人を追い払う。そのために虚偽の説明を重ねに重ねる。そんな行為は一体なにを守っていることになるのだろう。