投資対象は金融庁が認めた投資信託だけ
「銀行や証券会社などで一般的に売られている投資信託(※)は約2700本あると言われていますが、つみたてNISAで投資できるのは193本(2020年12月現在)とグッと絞り込まれているんです」
〈※投資信託とは、私たち投資家からお金を少しずつ集めてひとまとまりにし、そのお金を専門家が運用する金融商品。専門家が目利きをして、投信という“器”に株式や債券、リート(不動産投資)などを入れる“詰め合わせ”商品のこと〉
しかも、絞り込まれたものは「分散投資がされていて、運用が安定しており、手数料が安い」という金融庁の厳しい条件をクリアしたものだけ。
「特に手数料の基準は厳しく、投資信託では販売手数料はゼロ。運用や管理にかかる費用として毎日引かれる信託報酬も、一般商品に比べてかなり低くなっています」
例えば、一般的なアクティブファンドの信託報酬は平均1・7%と言われているのに比べ、つみたてNISAのそれは1・0%以下(国内)。
投資対象商品は、「インデックスファンド」「アクティブファンド」「ETF」の大きく3つに分けられる。インデックスファンドは日経平均株価などの指数と同じように動くことを目指したもので手数料が低め。アクティブファンドは指数にとらわれず、高いリターンを狙うもので手数料もやや高い。ETFは上場投資信託と呼ばれリアルタイムで市場価格をチェックでき、やや投資上級者向きといえる。
株価が高騰している“今”こそ始めどき?
気になるのが、投資を始めるタイミング。株価が高値更新をしたり下がったりと不安定な中、つみたてNISAをスタートして大丈夫なの?
「まったく問題ありません。長期投資という長い目でみれば、上がったり下がったりするもの。株価が下がれば、同じ投資金額でより多くの投資信託の口数が買えることに。投資初期はたくさんの口数を買ったほうが有利なので、むしろ株価が下がったほうが長い目でみればお得です」
注目してほしいのは下の図(外部配信先でご覧になれない場合は関連記事リンクを参照)。2007年末から米国株式の商品で月3万円ずつ積み立て投資をしてきた場合の投資成果を現している。途中、2008年にリーマン・ショックが起きたことで株価は大暴落しているが、その間も変わらず3万円を積み立てていくことで、最終的にはなんと約1185万円に! 元本の約1・5倍のリターンという結果になっている。
「将来“つみたてNISAで平均何パーセントの利益が出るか”は、もちろん明確なデータはありません。しかし、過去のデータから考えて、20年間の利益を平均化すると年利2~4%は狙えると思いますよ」(竹内さん)
※明日公開の後編『大暴落で売却はNG!忘れているくらいがベスト「つみたてNISA」の始め方〈運用編〉』につづく
(取材・文/樫野早苗)
《PROFILE》
竹内弘樹 ◎ライフパートナーズ株式会社代表取締役。投資信託・株初心者アドバイザー。独学で株式投資を学び、ウェブサイト「やさしい投資信託のはじめ方」を設立。わかりやすい解説と堅実な投資手法に定評が。