続いて多かったのが“変わり者”。詳しく聞いてみると、

「小学校の運動会で、ひとりだけ逆走したり、グラウンドの中央を突っ切ったりして場を乱していましたよ」

 あえて人と違うことをする偏屈さは“元祖マスク拒否男”を彷彿させる話だ。とはいえ、このエピソードだけをもって容疑者が特別だというのは早計かもしれない。

「テストで自分よりいい点数の子がいると、その子の肩や腕を歯形が残るほど本気で噛んでいた。自分より先にテストを終えた子に対しても“なぜ自分より早くできるんだ!”と怒っていた」

 エキセントリックではあるが、ハングリー精神の表れとも……。その負けん気が彼を東大に合格させたともいえるだろう。

親族が語った容疑者への思い

 容疑者は本当に変わり者なのか──。奥野家の親族が、匿名を条件に話をしてくれた。

「まず、奥野の長男坊が世間をお騒がせしまして、本当に申し訳ありません。迷惑をかけた方々にも、心からお詫び申し上げます」

 そのうえで、記者の疑問に答えてくれた。

「そんな変わった子じゃなかったと思います。身内ゆえのひいき目もあるけど、友達も多いし、外でも遊ぶ明るい子でした。同級生を噛むような、そんな凶暴なことはしていないと思いますけど」

 高校時代は山岳部に所属して活発だったという。

 容疑者は東大大学院を中退しているが、

「お父さんは弁護士か、官僚にでもなってくれたらと思っていたらしいけど、本人は教授、研究職に就きたかったみたい。それで大学院に進んだんだけど、論文が通らなかった。4年ほどチャレンジしたけど、それでもダメで……」

 核心を突いてみた。容疑者はなぜこんな意図的ともとれる騒動を頻繁に起こしているのか──?

「それだけは、正直わからないんです……。理屈をこねるところはあったけど、普段はおとなしい子でしたからね。田舎の資産家のボンボンが、大学院を中退して、人生で初めて挫折した。東大卒なのに理想の職業に就けなかったことへのうっぷんが“マスク拒否”という形で爆発したのかもしれませんね」

 と、厳しい言葉が並んだ。さらには、

「飛行機騒動のあと、アベマTVに出演して“マスク拒否の持論”を披露していましたよね。メディアに取り上げられて、調子に乗ってしまったのかもしれません」