0円健康法《つや声習慣、口腔フレイル予防》
●つや声習慣
〜のどの衰えで増える誤嚥や肺炎のリスク〜
のどには「声を出す」「息をする」「食べ物を飲み込む」という生命活動に欠かせない3つの重要な役割があり、健康維持にはのどのケアが欠かせない、と渡邉雄介先生は言う。
「声を出すときに使うのどの『声筋』が衰えると、声質が劣化するだけでなく、誤嚥しやすくなったり細菌やウイルスが侵入しやすくなって肺炎を起こすリスクも増加。予防のためにはのどの保湿に加え、『声筋』を鍛えるトレーニングが有効です」(渡邉先生、以下同)
なお、のどや声の不調が続く場合は「音声障害」という病気の可能性もある。気になる場合は一度専門医に相談を。
◆音声障害チェック
□話し始めの声が出にくい
□長く話すと声がかれる
□歌うとのどが苦しい
□夜になるにつれて声が出なくなる
□のどが詰まった感じがする
□挨拶などの簡単な言葉も詰まってしまう
□話していると声が途切れる
□話す声が震える
□音程がうまく合わせられない
□風邪が治ったあと声がかすれる
〜のどの老化予防には「声筋トレーニング」を〜
のどの筋肉を鍛える『声筋トレーニング』には音声障害の予防・改善や声のアンチエイジング効果が。時間を決めるなどして、毎日の習慣に。
・ の↑の↓発声法
のどの筋肉である声筋をバランスよく鍛えることができる発声法。
【1】口を小さくすぼめ、自分が出せる声の最低音から最高音まで、「のー↑」と鼻に抜けるように途切れずに発声。
【2】同様に、最高音から最低音まで「のー↓」と発声。10回×1〜2セットが目安。
・チューブ発声法
声の響きをよくするためのトレーニング。ストローを使って行う。
【1】ストローをくわえたまま「うー」と5秒以上声を出し続ける。
【2】【1】がしっかりできるようになったら、ストローをくわえたまま「の↑の↓」発声法」の要領で声を出す。口の中を膨らませて圧を高めるのがコツ。1日50回が目安。
〜のどを保湿して不調を防ぐ「つや声ドリンク」〜
のどに乾燥は厳禁。潤いを保つには1日当たり1・5L程度の水を飲むのが理想。
「水より保湿効果が高いのが『つや声ドリンク』です。のどが渇いたときに飲むだけでより状態をキープできます」
・つや声ドリンクの作り方
水1L当たりに砂糖20g、塩1.5gを加えてよく混ぜる。身体への浸透性が高く、水を飲むより効率的にのどを保湿できる。2Lのペットボトルで作ると簡単。保存は冷蔵庫で。
教えてくれたのは……渡邉雄介先生
山王病院国際医療福祉大学東京ボイスセンター長、国際医療福祉大学教授、山形大学医学部臨床教授。特に音声を専門とし、声のプロの信頼も厚い。
『専門医が教える声が出にくくなったら読む本』(あさ出版)
●口腔フレイル予防
〜口周りのケアは認知症予防にも必須!〜
老化を進め要介護の原因になりやすい状態として「フレイル」が注目されている。フレイルとは「虚弱」という意味で、大きく分けて3つの身体の機能低下のことを指す。
「身体的フレイル」:筋肉の衰えによる全身の機能低下。
「口腔フレイル」:口周りの筋肉の衰えや口腔環境の悪化。
「社会的フレイル」:メンタルが弱まり社会的活動が低下。
特に身体や心のケアは日ごろから意識している人も多いが、意外と見逃しがちなのが口のケア。
「虫歯や歯周病は口腔フレイルの大きな要因。さらに歯周病菌は歯を失うだけでなく、老化の一種である慢性炎症を招き、動脈硬化や認知症を引き起こすともいわれています」(鎌田先生、以下同)
また、口周りの筋肉の衰えも口腔フレイルの原因に。
「口の筋力が衰えると会話がしにくくなるため、人との交流が減少しがち。さらに咀嚼や嚥下も困難になることで栄養状態が悪くなり、全身の健康悪化を招くことにもなりかねません」
◆「パタカラ」「オデコ」体操
口腔フレイル予防として鎌田先生は、歯間ブラシを使った口腔ケアに加えて「パタカラ」体操と「オデコ」体操を習慣にしているという。
「『パタカラ』体操は口のまわりや舌の筋肉の動きをよくする体操。『オデコ』体操は頸部の筋肉を強化し、誤嚥を起こしにくくする効果があります」
簡単だけど効果は抜群。毎日の習慣にしよう。
・パタカラ体操
「パタカラ、パタカラ、パタカラ……」とできるだけ早く繰り返す。1回5〜6秒を目安に、何回行ってもOK。
・オデコ体操
額に手のひらを押し当てへそをのぞき込むように下を向き、のどのあたりに力が入るように手と額を押し合いながら5秒キープ。1日10回が目安。
教えてくれたのは……鎌田實先生
大学卒業後、諏訪中央病院へ赴任し、30代で院長に就任。地域包括ケアの先駆けをつくり、長野県を健康長寿県に導いた。現在は同病院名誉院長に就任。
『図解 鎌田實医師が実践している 認知症にならない29の習慣』(朝日出版社)