セールスマンは嘘をつかない!
外貨建て生命保険をすすめる際のセールストークとその裏事情について、後田さんに解説してもらった。
「営業マンは、嘘はつかないんです。ただ、正しい知識を持っていない人もいるし、お客さまが聞きたいことだけ話すほうが成約に至りやすい」
例えば─。
“日本の預貯金より高い利率の外国債券で運用されます。インフレに備えられますよ”。→実は、債券の利率が高いということは、投資対象の信用度が低いということ。
ハイリターンをうたうものはハイリスクで、将来価値が大きく目減りする可能性がある。
“外貨ベースで元本保証します”。→為替相場でその通貨に対して円高になれば、円に換算すると損することに。
「こうした為替リスクなどをきちんと理解したうえで海外の金融商品に投資するならかまいません。ただ、どうせ海外の金融商品に投資するなら、保険ではなく投資信託を選んだほうがいい」(後田さん)
というのも、外貨建て保険の場合、手数料(保険会社や販売員の取り分)があまりにも大きいから。後田さんによれば、販売手数料だけで一時払い契約では3~7%、月払いだと初年度は年間保険料の数10%もかかるという。
「手数料率7%の一時払いだと、保険料を1000万円払ったら930万円からの運用です。20年間の積み立てで初年度の手数料率が50%の場合、それだけで毎年2・5%の費用が引かれる計算です。すると2・5%の利率でも成果はゼロ。有利なはずがありません。投資信託なら手数料が0・5%未満のものがたくさんありますよ」
業界では苦情の増加を踏まえ、外貨建て保険を販売する金融機関の職員向けの販売資格を創設、資格取得を義務づける方針だが、「根本的な解決につながるか疑わしい」と後田さんは否定的にみる。