野生動物が持っている病原体も危険
その1つが最も危険な陸上生物と呼ばれているイタチ科の『ラーテル』だ。相手の急所に噛みつき、危機が迫ればライオンにだって反撃する。
ペットとして飼われていたラーテルが逃亡した、という情報がある。飼い主は探しもせず、ラーテルの所在は不明なままだという。
「噛みつくなど物理的な攻撃だけではなく、野生動物が持っている病原体も危険な場合があります」
例えばかつてはペットとして人気が高かったプレーリードッグ。ペストや最悪の場合、死に至るおそれもある野兎病などのウイルスを保持していることがわかった。
しかし騒動のヘビの飼い主のようにアパートの一室で、危険生物は秘密裏に飼われていることもある。
「鳴き声やにおいがなければ隣の家で危険生物を飼っていてもまず気づかない。逃げたとしてもわかりません」
ずさんな飼い方や多頭飼育をする飼い主も
なぜ危険生物を飼うのか。その背景には特定動物に限らず、ヘビやトカゲなどの爬虫類や、サルなど希少価値の高い野生動物飼育がブームであることが関係する。
動物売買関係者によると、昨年はコロナ禍のため海外から動物を持ち込めず、輸入数は落ち込んだ。だが、国内で繁殖していた動物もいたため取引数は過去最高に。値段も高騰している。
「かつてはマニアの世界でしたが今ではSNSなどを通して拡散され、“可愛い”と飼う人が増えた傾向にあります」
そう話すのは動物愛護団体『PEACE』の東さちこさん。動物を安全に飼うにはケージや水槽などに費用をかけ、環境を整えしっかり対策をしなければいけないが、
「施錠が甘かったり、動物の力で壊せる安価な容器で飼育している人はたくさんいます。十分注意していても逃がしてしまうことはあるのに、ずさんな飼い方をしていれば当然です」(永山さん、以下同)
動物が逃げる理由は飼育環境の不備だけではない。理由のひとつに多頭飼育がある。
「爬虫類や鳥類では20~30種類、何十匹も飼っている飼い主は少なくない」
ずさんな飼い方で数を増やしすぎてしまい、管理が行き届かず、生き物がいなくなったことに気づかないという。
「わが子のように育てた生き物の脱走は本当につらい。ただ、中にはいなくなってもまた買えばいい、なんて人もいます。逃がしても通報もしないし、捜しもしない人も。今回の騒動の飼い主は通報もして捜していたのは評価できる」
特に、摘発を恐れる飼い主は通報も名乗り出もしない。