規制を強めると闇取引や闇飼育が横行
昨年6月の動物愛護法の改正で愛玩目的での特定動物の飼育が禁止された。個人が新規で飼えなくなったため、無許可なことを知ったうえで売買したり、譲り受けるなどして飼育しているケースがある。
「乱獲され、密輸されて、道中で死んでしまう動物も。希少な動物が絶滅するおそれもあるので水際での摘発が重要です」(東さん)
法改正前に駆け込みで大量の特定動物が取引されるなど、依然として特定動物は人気で密輸や無許可飼育は横行している。前出の東さんは、
「動物愛護法改正前は特定動物に指定されているライオンやクマ、毒ヘビでも飼育設備の条件をクリアして許可を得れば、誰でも“ペット”として飼育することができました。ですが野生動物の適切な環境をつくることが難しかった。ペットとして野生動物を飼うことは不適切なんです。それに今回の騒動でもわかったように危ない動物たちが周囲にいることで住民は大変な恐怖心を抱きます」
一方の永山さんはこの考えに異論を唱える。
「私は特定動物の愛玩目的での飼育には賛成です。規制を強めたことで逆に闇での取引や飼育が横行しています。規制を緩め、飼育許可を出す際にも十分に調査。違反すればもっと厳しく罰を与え、取り締まるほうがいいと考えます」
特定動物を無許可で飼育した場合には個人では最大で6か月以下の懲役、100万円以下の罰金が科せられるのだが、これでは甘いという。
だが、永山さんがもっとも逃亡を恐れているのは、
「しつけがされていない犬です。特に凶暴な犬種は逃げたときのリスクが高い。ずさんな飼い方やしつけで大ケガを負わせたり、死亡事故が起きた事例はいくつもある」
動物と安全に暮らすためには、周囲に飼っていることを伝えて良好な関係を築くことがカギなのかもしれない。